村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

社債

インドネシアのドル建てハイイールド社債が炎上中

投資適格だけ見てると相場は平穏に見えるけど、アジアのハイイールド社債見るとかなり荒れてるんじゃないかと疑いたくなる。
特にひどい状況にあるのがインドネシアで、発行しているうちの25から30%ぐらいが利回り10%を超えるクズ社債となっている。

以下駄目な銘柄を挙げてみようと思う。

1、Duniatex
これは最近で一番ひどい例で、今年の3月にドル建て社債を起債した縫製会社だが、なんと7月になって利払いができなくなり実質デフォルトとなった。
上場企業じゃないことをいいことに会社情報に関してほとんど非開示で数字がわからなかったことから投資家の反応は遅れ、たった一日で社債単価がオーバーパーから35に叩き落されることになった。

2、不動産銘柄(リッポーカラワチ、カワサンインダストリジャバベカ、アグングポドモロ) 
インドネシアの不動産市況はかなり悪く、ここ数年フラットという状況だ。
そしてレバレッジが高く、また保有している土地に偏りがあったり、特徴のない不動産会社はいきなり不動産が売れなくなって資金繰りが詰まるという事例が多発している。
リッポーカラワチはもともとはピカピカの不動産デベロッパーだったが、ビジネスモデルが株式調達によるライトアセット戦略に依存していたことから、株式の軟調化に伴って戦略を実行できず、在庫がバカスカ溜まったことによって死ぬ一歩手前まで追いつめられている。
ジャバベカは工業用団地分譲と発電IPP事業を行っているが、工業用団地が周辺にもタケノコのように出来てしまい価格のたたき合い競争になった上に、IPPでは配電先のPLNから質が低いと受け取り拒否されてゼロ出力になるなどわけのわからない問題が発生。
アグングポドモロは去年一昨年あたりからさっぱり不動産が売れておらず、いずれも会社も資金繰りに汲々としている。

3、石炭会社(ジオエナジー、ゴールデンエナジー、ABMインベスタマ) 
インドネシアの石炭会社は結構ドル建て社債を発行しているが、昨今の石炭価格下落で小規模・雑オペレーションの会社はかなりクレジットが危なくなっている。
ジオエナジーはアニュアルレポートにジムロジャーズをのっけるといった普通のIRでは到底思いつかないような芸当で投資家をずっこけさせているが、案の定オペレーションが雑なので石炭産出がうまくいかなくなって赤字になっている。
ゴールデンエナジーも会社規模が小さく、こちらも利益が急減しており投資家から不安視されている。
ABMインベスタマは保有鉱山が小さいうえに、掘削オペレーションも運搬事業もいずれもシェアが小さく中途半端な位置にあることから赤字に陥るんではないかと観測されている。 

4、ガジャトゥンガル 
インドネシアのタイヤメーカーだが、万年資金繰りに苦しんでいるトラブルメーカー。
事業がかなり運転資金がいるビジネスな上に、親会社との不透明な資金のやりとりでさらに資金繰りが逼迫している。
リーマンショックから数えると三度目ぐらいの債務リストラになるかもしれない。 

5、サウィットスンバーマス 今ESGで話題のパームプランテーション銘柄。パーム油事態が環境に良くないという理由から欧州では使用について厳しい目線が向けられている。
欧州以外ではインドと中国の伸びが成長率の大半を担っているが、いずれも従来の年率伸び率5%から1-2%へ減少しており、需要が想定を下回る中、パーム油価格がリーマンショック来安値レベルに接近しつつある。
そういったことからサウィットスンバーマスも利払い能力が減少しつつある。 

6、ソエチ 
インドネシアの海運会社だが、ビジネスモデルがすでに破綻している。
10年以上の中古原油タンカーを買って、プルタミナに原油を運ぶというビジネスモデルなのだが、それプルタミナが料金値下げ要請したり、プルタミナ自体が船買ったらどうすんの?
としょっぱなから破綻しているビジネスモデル・案の定炎上している。

このようにインドネシアのハイイールド社債だけを見ると、なんかこれやばいことが起きているんじゃないかと思いたくなる炎上っぷりだ。
特に2017-2018年に起債している銘柄ほど雑なファイナンスをしたということもあり、ほぼ全滅に近いという状態になっている 

一部銘柄の大幅下落でレバレッジドローン全体に懸念が生じているのか

レバレッジドローンの価格急落、クレジット市場の重大リスクが鮮明に

レバレッジドローンの銘柄のうち、残高が6.93億ドルあるクローバーテクノロジーズのレバレッジドローン価格が48時間の間に2/3になったという話だが、足元の相場で一番気持ち悪いのはこのレバレッジドローンおよびCLO周りだと思われる。

これらローンは流動性が薄く、そんなに自由に売買できるといったものではないので、通常の社債を考えながら保有していたりすると、特定プレーヤーの売りでいきなり大きく価格が下がりリスクがいわゆる普通の社債と比べてダントツに高い。
そして過剰なオーバーシュート値崩れが他のプレーヤーの売りの呼び水となってしまい、ドミノ倒しのように売りが増加した挙句、いろいろなプレーヤーやリスク資産を巻き込みながら下落していく。

他のリスク資産も下がるのは、ローンの値下がりとともにリスクプレミアムが上昇し、他の資産が急速に投資妙味として見劣りするようになるというのもあるが、メインは損切りと同時にその損を埋めるために利益がのっかっているリスク資産を売る動きが増幅されるからだ。

2018年末はその動きが特に顕著であったが、今回はどういう動きになるだろうか?
直近でパルマースクウェアCLOインデックスは格付け別にみるとどの格付けもおそらくはこのクローバーテクノロジーズのローンの値下がりの影響を受けてプライスリターンが下がってきている。直近でも流動性の低い資産を大きく入れていたファンドにトラブルがあったが、この夏を乗り切れるかどうかが一番不安なところだ。

<過去参考記事>

流動性の薄い資産への逆風が相次ぐ


 

金融法人のCLO需要熱は冷めていない

ゴールドマン:CLO販売を再開へ、今四半期中に第1弾-関係者

おー、これは農中とか金融法人はまだこりてないってことですね。

ゴールドマンは顧客さえいればどんなゴリ押しでも売りつけに来るので、これは農中運用部門の部長デスクの後ろにGSAMセールス美女専用の席があってもおかしくないレベルの話になってそう。

とりあえずCLOに対する日本の金融機関からの需要熱は全く冷めていないのと、きっと金融庁への説明責任はゴールドマンが背負ってくれるということなんでしょうね。
おそらく今CLOに新しく投資するという金融法人は、販売元に金融庁への説明おぜん立てをしてくれますよねというのを期待しており、ゴールドマンはもちろんやりますよ!ということなのだろう。 

ソフトバンクの円建て社債に投資する個人はどれだけ損をしているのか

ソフトバンクG、社債5000億円発行へ
ソフトバンク(親)が、過去発行した社債が償還時期を迎えるということもあり、新規で5000億円個人向け円建て社債を出すという話が出ている。

募集利率レンジは1.3-1.9%だそうだ。さて個人投資家がどれだけ損をしているか計算してみたいと思う。現在ソフトバンクのドル建て社債2025年4月満期社債の最終利回りは5.46%程度だ。
ただし、これはドル建てなので、じゃあこれを日本円にヘッジしたときにどれだけ利回りが残るか計算しなければいけない。

足元で3ヵ月ドルLiborは2.59%、3ヶ月ベーシスコストは0.18%だ。円Liborはとりあえず0で仮置きして、大体為替ヘッジコストは2.73%ぐらいだ。
5.46%-2.73%=2.7%とソフトバンクのドル建て社債を円ヘッジすると足元で2.7%残る計算になる。もちろん、今後景気が回復すれば米金利の上昇と為替ヘッジコストの増加というリスクを抱えることになるが、機関投資家は円ベースで2.7%の利回りが取れる中、個人投資家は1.3-1.9%しかもらえない。

1.9%なら、まあ今後の為替ヘッジコスト増加リスクを考えればフェアっぽい感じもするが、1.3%だとさすがに馬鹿にしすぎじゃないかとも思える。
つまり個人投資家はもし1.3%で決まれば、他の機関投資家が保有するユーロ建てやドル建て社債のファンディングの肥やしになっていることを意味する。多分今回の募集は償還予定の個人向け社債を保有している個人にアプローチをかけてロールさせる方向性でマーケティングしていると思うが、今回は前回と違い、ソフトバンクモバイルのキャッシュフローが以前より低いということを前提にいくらの利率が適正なのか個人にはぜひとも判断してほしいと思う。 

ドル社債に対して投資意欲が衰えない台湾生保

Taiwan insurers skirt restrictions to load up on dollar bonds

現在の台湾の対外収支構造は、過剰ともいえるレベルで経常黒字が積みあがっており、一方で国内の投資機会が少ないことから、高利回りを求めて台湾生保は気付けばドル建て社債の大口プレーヤーになっているという話だ。

しかもその意欲は全く衰えていないということをこの記事では示唆している。
台湾政府は台湾生保の外貨建て投資について取締りを行っているようだが、様々な抜け穴を駆使してその監視網をかいくぐっているようだ。
ひどいのになると、外貨建て社債に投資している国内ETFに投資して、これは自国通貨建て資産なのでと主張してやり過ごしているプレーヤーもいるようだ。

記事では某米国大手通信会社(どうせベライゾンかAT&Tだけど)の30年債の1/3を購入するような、巨大プレーヤーになっているとか。
さらに台湾生保はどうやら為替ヘッジをあまりしていないようで、相当程度リスクを取っているということがうかがえる。
台湾の生保の動向については今後も追っていく価値があると思う。 
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