上記ツイートについてどの辺でそう思ったのかという質問が何人かのフォロワーさんからされたので、解説したいと思う。

エムスリーは株式投資に慣れ親しんだ人ならほぼ全員が知っている医師向けSNSを運営する日本のハイパーグロース株である。
そして銘柄の性格としては個人よりもどちらかという機関投資家が非常に好む銘柄である。
ボトムアップ分析で有名で、一度買い始めたらよっぽどのことがないと売らず、ドホールドを決め込むベイリーギフォードも大量購入している銘柄で、ツイッターでもエムスリーについて握ってれば勝ち確みたいな扱いをされる優良銘柄である。

バリュエーションの話はまずおいといて、チャートで価格推移と出来高の動きを見ていきたいと思う。

<エムスリーの株価と出来高チャート>
タイトルなし


注目してほしいのは出来高が増加するタイミングとその時の株価アクションである。
出来高では過去200日平均とか100日平均と比べて多いか少ないかを見てもらえればいい。
出来高が過去平均と比べて大きい場合(銘柄にもよるが1.5倍ぐらいが目安)には、誰かが何かしらの理由で買ったり売ったりという仕掛け的アクションをしているので、出来高が増加したタイミングとその時のプライスアクションを見ることによって売買参加者が何を考えて仕掛けたのかのヒントを得ることが出来る。

これまでエムスリー株は少しでも株価が落ちればわらわらと機関投資家が押し目買いを入れまくっていたのが直近以外のここ1年の動きである。
株価が多少落ちるたびに出来高が増加するとともに株価がすぐに戻るのは少しでも投げる人がいれば倍プッシュでここだとばかりに機関投資家が買っているからである。
それと一定程度の日柄調整を得て株価がレンジを上抜ける時も出来高上昇とともにそのレンジをぶち破り、株価レンジをどんどん切り上げていくという流れが続いていた。
この株価レンジの上を突き破る動きはどちらかというと短期で相場を動かす機関投資家が中心なように思える。
ただ、株価レンジを上抜けるとすぐに出来高は落ち着くとともに、そこからじりじりさらに株価が上昇していっているのを見ると手放す人はおらず、株価レンジが切り上げることを期待したゆるやかな売買が続いていたことを意味する。

ところが記事一番上のツイートをしたときは売買が完全に異常であった。
先ほど述べたようにエムスリーは機関投資家が好む銘柄で、時価総額もすでに6兆円を超える大型銘柄である。
そんな銘柄で株価が一気に急騰する中で、通常であれば出来高が落ち着いて再び株価レンジを形成するところがなんと株価が連騰するにつれ、出来高が急増したのである。
これはもう参加者は冷静な機関投資家などではなく、個人や短期でぶっこ抜こうとするやからなど、もはや冷静さを欠いた買いパニックに陥った人達が上値を追っているのが見えた。
これがもっと小さな銘柄ならもう何連騰続く可能性もあっただろう。
しかし時価総額6兆円の銘柄ではそんなことをするにはよっぽど巨額の買いエネルギーが必要でどんなに爆買いしたとしても連騰を続けるのは買いパニックになっている人達が殺到している時点で難しいと感じた。
しかも割安株などではなく、PERが200倍超・PSRが40倍超・1年移動平均線からはるか上方に位置する株価と超がつく割高株で生じているのである。
こんな銘柄で買いパニックになっている時点で天井がもう間近まで迫っていることは想像に難くない。
ただ、この日は大陽線で引けていることを考えると明日の寄りがこうした冷静さを欠いた人達の買いパニックのピークになり、その後は目ざとい機関投資家の利益確定売りが出てくるだろうというお決まりの流れも想像の範囲に入ってきた。

以上がツイートでエムスリーの株価の一旦のピークが近く、加えて明日の寄りがピークになるかもと予想したロジックである。
このロジックの組み立てにおいて知っていなければいけない重要なファクターは

・これまでと今回の出来高増加タイミングと株価プライスアクション
・そもそもどういった投資家が好んで取引しているタイプの銘柄か
・基本的なバリュエーション状況(これは他の似たようなセクター・企業との横比較も含む)

の3つであり、節目価格とか意味不明なテクニカル指標によるテクニカル分析による判断ではない。

では、エムスリー株はどこが底なのかという疑問をぶつけたいと、このブログ読者は思うだろう。
残念ながら、どこの値段が底になるのかは全くわからない。
ハイパーグロース株ということもあり、バリュエーションでいくらという形で予想することは非常に至難の技であり、やはり売買動向から推察するしかない。
まず底打ちするには最低でも機関投資家の利益確定売りが枯れないといけない。
売りが枯れれば自然と出来高が減少していくはずなので、売りと買いの殴り合いが落ち着いてからその時点の株価を見て判断するしかないだろう。
直近出来高を見るとまだ壮絶な殴り合いが4日連続で続いており、残念ながらまだ売りは枯れていると判断できず、安全なエントリーには尚早であることは確かだ。
なので、ここからエムスリー株をどうしても買いたいと思う人は出来高を見て、この馬鹿みたいな殴り合いが終わったかどうかを見てからで遅くないだろう。
少なくともこのような大型銘柄で売りと買いが壮絶に乱闘しているところにノコノコ現れれば、金を得るよりも乱闘の巻き添えを食らうリスクの方がずっと高いわけだから。

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