杞憂に終わればいいのだが。

毎朝自分が市況を確認するためにも
・昨日の米国株市況
・米国株セクター別動向
・米国債市況および関連指標
・米国社債市況
・為替
・コモディティ
・オプション動向
・Fear&Greed Index
をツイッターで投稿しているのだが、この日はコモディティ市況でうん?と思ったのが一つ。


WTI原油は見た目耐えているのだが、同じ石油系指標でヘンリーハブガス価格が死んでいるのである。
確かにチャートを見ても死屍累々みたいなチャートになっているレベルとかでなく、あの大混乱に見舞われた2016年の水準も割りに行っている。

<ヘンリーハブ期近先物価格>
タイトルなし

これについてはいつもお世話になっているあんこんさんからの情報提供がありました。
(いつもありがとうございます)

通常原油を見る際はWTIとかブレント見ておけばオッケーと思っている人がいるかもしれないが、ヘンリーハブガス価格も足元の状況を見定める上では非常に重要な指標である。
なぜなら、米国シェールガス企業は産出ガスはこのヘンリーハブ価格を基準にガスを売っているからだ。

シェールガスを採掘する際には実は二種類の産物を得られる。
一つはもちろんシェールガス採掘なんだからガスが採掘できる。
そして実はガスとは別にシェールオイルと呼ばれる天然ガス採取の際に地表で凝縮分離した軽質液状原油が手に入る。
ここらへんは資源エネルギー庁のHPに解説があったりするのでこちらを参考にしてほしい

<参考サイト>
「シェール革命」と世界のエネルギー事情の変化

別途シェールガス産業について知りたい方はこちらも参考にしてもらいたい
<参考書籍>

シェールガス革命とは何か―エネルギー救世主が未来を変える

この二つの産物だが、WTI連動価格で販売できるのはシェールオイルの方だけである。
こちらは普通の原油と同じ運搬方法が使えるのでWTI原油と同等の扱われ方がされる。
問題はシェールガスの方である。
こちらの方はWTI連動では売れない。
なぜならガスなので運搬には別途様々な設備が必要だからだ。
例えばガスのまま運搬するならパイプラインを別途敷設する必要性があるが、パイプライン敷設までに長期間の建設プロジェクトと高い建設コストがかかる。
またもう一つは液化して運搬する方法もある。
しかしこちらはより大規模なガス液化設備が必要になり、より長期間・高コスト建設プロジェクトを組む必要性が出てくる。
特に海外に輸出するためにはこのガス液化設備は必須設備になる。
海外に輸出する際にはエネルギー換算でブレントやドバイ原油連動に近い形の価格で販売できるが、新規で横やりで入るわけだから確実に需要を掴みにいかなければいけない。
しかし足元でその掴める需要がないということもあり、ガス液化設備建設は増えず、そのうえ国内需要も増加しないのでシェールガスは需要に対して供給が非常にだぶついているのが想像できる。

ヘンリーハブガス価格なんて米国内だけの価格なんだからグローバルには関係ないでしょという可能性もなくはないが、シェールガス業者の採算ラインでもある2ドル台を余裕で下回って割っていることを考えると、これは何か悪いことが起きているのではないかと勘繰っている。
シェールガス業者の淘汰が足りないのか、それとも米国で経済再開しても期待値に届かないことを示しているのかのどちらかだとは思うが、どちらにしてもグローバル原油価格には大きくマイナスに働きかねない。

ちなみにヘンリーハブガス価格がゼロになるかどうかアンケート取っていますので、ご協力ください。


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