破綻のハーツが新株発行 個人の投機マネーで株高

今ニュースで話題になっているチャプター11申請したのに株価が爆上がりで株式新規発行するとかいう前代未聞な状態になっているハーツについて、ここはきちんと一次情報を見て自分なりの結論を導きだしておこうと思い、ハーツの10-Kを見てみた。

<損益計算書>
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すでにコロナ前時点で赤字ぶっこいている上におそらく費用の大半が自動車絡み費用(減価償却・メンテ費など)で占められていて、コスト削減余地が非常にない。
昔からあるオールドエコノミー業種で、固定費重い業態なのに、売上増えても全然利益増加していないのを見ると、元々がクソ株の類に分類される企業であったことはなんとなく想像がつく。
ちなみに利払いが年間8億ドルぐらいあるので、これが払えなくなると即詰みである。

 <顧客属性>
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いきなり需要の60%がレジャー向けというハードパンチである。
これを見ればハーツのレンタカービジネス自体がホテルの宿泊とかとも関連性が高く、このコロナ不況では致命的にダメージを負っていることは確かだろう。
ビジネス向けも自宅勤務が激増し、顧客との対面打ち合わせができないことを考えれば売上がボロボロなのは容易に想像がつく。

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需要の6-7割がエアポート送迎絡みであることがうかがえる。
この時点で航空株がやばいっていうならそもそもハーツもやばいだろという関係性が見えるので、航空株に逆行してハーツ株が上昇するという考え方自体が不思議でならない。
これが1年間ですぐ戻ると思うのなら、まだ航空株買った方がリスクリターンがよいのではないだろうか?

<負債と純資産>
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最大の問題はこの会社はABS(アセットバック証券)に頼りすぎなところである。
おそらく、会社の拡大を優先させたのか、そもそも元々自転車操業的な運営だったのかというところはちゃんと見ないとわからないが、異様にアセットバック負債が多い。
特に純粋な有利子負債が減少してアセットバック負債が激増しているのは、借り入れコストが相当高くなってしまいもはや担保付の借り入れしかできなくなったのではないかと考えられる。
ちなみに自己資本比率は12月末時点で7%とくらいと非常に薄いので、残念ながら収益の安定性が高いから債務超過で許される米国企業のカテゴリーに入れることは難しい。

<資産>
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ちなみに資産の部を見るとABS負債分と資産部分の自動車資産簿価が同じぐらいあるので、ほぼ全て担保に取られるといって間違いないだろう。
多分現時点で売却して現金化できる資産がないので、有利子負債の返済目処が立たないし、下手するとABS負債や有利子負債の利息ももう払えないレベルに陥っているので、チャプター11申請となったのだと思う。
もしABS規模が少なくて、保有自動車が売却できる状態だったらまだこの企業は耐えられたように思える。

<キャッシュフロー表>
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個人的によくわからなかったのがこのキャッシュフロー表の投資CFと財務CFである。
営業CFは大体普通は25-29億ドルぐらい稼げるというのはわかるのだが、投資CFと財務CFで1年間で財務にある自動車資産が一回転するレベルで自動車取得→ABS発行して売却→アセットバック→返済というのを行っている。
これが本当なら短期間でひーひー言いながらABSぶん回して営業してたということが言え、元々会社組織自体ぎりぎりだったということになるが、そこは詳しく調べていないのでわからない。
ただここまで調べて意味不明なCFがあると個人的には絶対に触りたくない代物であることは確かだ。

<結論>
ハーツが生き残るには最低どれぐらい金をかき集めてこなければいけないか?
現在のABS負債は資産にのっかっている自動車で一応賄えていると仮置きすると、37億ドルの有利子負債の存在と当面払える利払い(年間8億ドル)が賄えれるレベルの現金があれば確実だろう。
そう考えると45億ドルぐらい現金をかき集める必要性がある。
上記を考察すると、どう考えても10億ドルの株式発行では足りないように思える。
(20億ドルぐらいかき集められればもしかするとワンチャンあるかもしれないが)
そもそも時価総額4億ドルでそこから10憶ドルの株式発行をするというのもかなり難しいように思える。
社債の方はどうやら全然パーに辿り着いていないようで、それを考えると債券投資家の方は仮に10億ドルかき集められても全然足りないということに確信を持っているだろう。
チャプター11申請したものの株で資金調達してコロナ後まで粘って、場合によってはチャプター11撤回みたいなストーリーを描くにはどうしても現金化できる資産が少なすぎると個人的には感じる。
10憶ドル程度では利払いと営業費用と役員報酬に全てすぐに消えるのではないだろうかと思う。

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