FRB、22年末までゼロ金利維持 追加策3案を検討へ

債券的には満額回答的評価だが、株の方は少し不穏。

注目のFOMCが昨日開催されていたので、とりあえずのレビュー。
会見についてはYoutubeでも流れているのでちゃんと聞きたい方はこちらから。

https://www.youtube.com/watch?v=kz0o3NJQpX0
(再生回数だけ見たら単なる底辺Youtuber感はなんだろうか)

・足元の雇用状況について
5月においては多くの雇用者が職場に戻っていることを確信しているものの、コロナウイルスで金銭的に被害を直接的に受けたセクターについては戻っていないことについて言及。

・引き続き雇用にコミットし、政策金利は2022年までゼロ張り付き
2020年末の失業率は9.3%、21年末6.5%という予想を出してきており、イエレン時代の金利引き上げ時の失業率を考えれば2022年まで政策金利引き上げはないという判断も妥当だと思われる。
LIBOR(本当に来年までに改定するのかどうかしらんけど)などの短期金利は0.5%以下が2021年いっぱいまで続くことになりそうだ。
2年債も今年いっぱいぐらいは今のほぼ金利ゼロレベルに釘付けの状態になるだろう。
3年債以降は一応は将来的な利上げの可能性というのもあるので、一応はイールドカーブを一定程度維持された状態にはなるだろうが、まだ追加対策うんぬんといっている間は金利上昇不安についてはさほど考える必要はないだろうという雰囲気だ。

・QEの量について
米国債の買い入れ金額は月800億ドル、MBSは月400億ドルを目安にすると言及。
コロナウイルスで市場が大荒れした時はとりあえず市場の暴落を避けるために無制限としていたが、市場の流動性も回復したところから一旦買い入れ量の目処についてこれぐらいという数値を出してきた。
国債金利が低下しているので、債券村にとってはこれぐらいで十分だと考えているものと思われる。

・YCCやマイナス金利について
具体的な言及なし。
マイナス金利についてはドットチャートでも誰も予想しておらず、やはりマイナス金利はMMFなどを考えればやりたくないというのがFRBの総意のように思える。
YCCについては長期金利の金利上昇が爆騰しない限りはとりあえず導入はまだ見えてこないように思えるし、あと政策金利を3年引き上げないのとYCC3年って何が違うんでしたっけという話もある。
(一応ブリーフィングは受けているという話は出ていたが)

各リスク資産の反応は以下のような感じだ。
・株
発表直後は好感して上昇したものの、引けにかけて下落。
特に純粋にコロナウイルスで被害受けているセクターが大幅に下落で、ナスダックだけ上昇する非常に歪な内容となっており、かなり相場に限界が近いように見える。

・債券
国債は素直に好感して金利低下。
買い入れ額的にも減額リスクはとりあえずなくなったし、金利引き上げタイミングについてもコミットしてきたことから、あれこれ考えるタイミングはまだ当面先という安心感が出ている。

・コモディティ
ゴールド・シルバーは素直に反応。
ゴールドについては1650ターゲットで狙っていたが残念ながらそこまで届かず空振りとなった。

総じてみれば債券村は金利上昇を抑える分には十分な量の買い入れが続くし、まだ追加で何か出てくる可能性もあるし、銀行にも預金がじゃぶじゃぶに余っていることから金利が上昇したら買いという姿勢が継続している。
一方で債券村は満額回答という判断に対して株は動きが不穏だ。
会見中においても社債買い入れについてはバックストップだからと発言しており、FRBとしても積極的にバンバン買い入れるわけではなく、あくまで投げ売りを阻止するための見せ玉的な位置づけであり、そういった意味では債券村的には満額回答であっても、株の人達からしたら追加の具体的な話は出てこなかったという不満が出る内容だったのかなという気がする。