US jobless claims hit 3.3 million, quadruple previous record

米国人が大量にクビになっているが、逆に相場にはサポート要因。

コロナウイルスによる都市封鎖から既に大量に米国でクビきりが発生しているという話が出ていた。
ところが全体像がまだわからず、どれだけの人がクビになっているのか想像の範囲ができず、ニュース報道でもエコノミストが出す予想が100万人~400万人とほんとうにバラバラで全くあてにならない状態だった。

<参考ニュース>
Jobless claims expected to spike to a record-breaking number

実際に蓋を開けてみると、新規失業者はなんと驚きの330万人である。
ちなみにその前週は28万人なので軽くいつもの10倍以上クビになっている。
これは米国の総人口の1%、労働人口の2%に匹敵するので、単純に失業率が2%いきなり増えることになる。
これはリーマンショックの時期の単週でクビになった人数最高記録である60万人台をはるかに超えるとんでもない人数が一気にクビになっていることを意味している。
米国では好きなタイミングで従業員にクビを言い渡すことができるので、本当に大量の人が雇用主から「明日から来なくていい」と肩を叩かれて追い出されたわけだ。
米国ではこうしたクビになるタイミングが企業活動とほぼ一致していることから、実際の米国経済の体温をはかる指標として新規失業者保険申請数というのは経済指標として重要視されている。

<参考記事>
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

しかし、もはやこれだけ大量にクビになっている人間が出現しているということは、経済・雇用を重視するトランプ政権にとっては何が何でも対処する必要性のある問題になるわけだ。
あれだけ「メイクアメリカグレイトアゲイン!」と叫んで当選した大統領がまさか雇用の急速な喪失を無理するわけにもいかないことは確実だ。
特に今回は自然な景気サイクルではなく、コロナウイルス蔓延を防ぐために都市封鎖を行ったことによる景気下落とクビ切りであり、コロナウイルス感染時期を乗り越えれば再び米国企業は人を雇って企業活動を始めることは目に見えている。
(もちろんその間に対処間違うとやばいけど)

そのためにもうFRBは社債買い入れにまで到達しているし、トランプ政権は2兆ドル景気救済パッケージまですでにぶっこんできている。
2兆ドルパッケージは決まるまでかなり短期間だったことを考えると、これで足りなければ、まだ財政もおかわりがあるだろう。

そして今回は運がいいことに金融機関にレバレッジがかかっていないので、一部を除いては金融機関は持っているポジションを無理やり投げる必要性がない。
リーマンショックの時のようにパツパツに金融機関がレバレッジをかけてたらこの時点でもう皆総崩れで金融システム崩壊待ったなしみたいな感じだったろうが、今のところは政府が財政対応すれば大丈夫だろうというのが市場のコンセンサスになっているように思われる。

というわけで、過去に例を見ないレベルで失業者が出たことにより絶対にトランプ政権は底抜けしないように財政支出対応を継続させることがプラス材料として認識するということもできると個人的には考えている。
ただ一方でさらなる財政支出拡大というのが予想されるなら、それは単純にドル札を刷ることを意味するので、やっぱりドル安方向に傾きますよねというのもなんとなく想像がつくのではないだろうか。