US imposes sanctions on Rosneft subsidiary over Venezuelan oil

原油価格サポート要因が増加した。

現在ベネズエラの原油輸入というのは全面的に米国に妨害されており、普通の国でベネズエラから原油を輸入した場合には様々な米国からの制裁を受ける。

その制裁内容は非常に苛烈なもので
・米ドル決済の禁止
・米国で管理されている資産の凍結
・関係取引先に該当企業との取引を禁じる
など実質的にその企業の生殺与奪権を奪われる形になる。

そういったこともあり、ベネズエラは元々の輸出先から商取引を取りやめられたり、掘削に必要なコントラクターを確保できなくなったり、ベネズエラ重油を希釈するための原材料を輸入できなくなったりしてベネズエラの原油産出量と輸出量は急減少した。
そのレベルはひと昔前は300万バレル/dayだったのが今や70万バレル/dayだ。
しかしそれでも細々と足元ではその原油輸出量が維持されていた。

では誰がベネズエラの原油輸出を支えているのか?
それは主にロシアである。
現在のマドゥロ政権を後ろで支えているのはイデオロギー的にはキューバ、資金面ではロシアなのである。
ロシアはいわゆる米国に対立している国には漏れなく支援しており、ベネズエラもこの例に漏れずロシアがバックで資金を援助している。
その資金援助方法がいわゆる原油をこっそりロスネフチという実質国有企業経由で取引をし、ベネズエラにドルで支払いを行っている。
このロシアのベネズエラ支援はかなり粘り強く行っており、あれだけ資金を融通していた中国でさえもはや金の無駄だと見切り、足元では資金援助を縮小させている。
(そういった意味では中国はかなり実利主義的な資金融通しかしない)

しかしあまりにもおおっぴらにこのベネズエラへの原油を通じた資金融通をしてきたことから、米国がここに来て二の矢であるロスネフチに対する制裁を発表してきた。
正確にいうと、ロスネフチのトレーディング子会社に対する制裁だ。
この制裁でこのロスネフチのトレーディング子会社は90日間まともな国・企業との原油取引決済から締め出されることになる。
なお、ここでロスネフチの一番上の親会社に制裁をかけられなかったのはEUとのガスパイプライン契約に支障をきたして、欧州の安全保障問題になりかねないというところがある。

このように今までベネズエラとロシア間の原油取引についてかなり見逃してきた米国だが、原油価格が下がってきたことからここに制裁を加えても大きな問題はないだろうということで制裁を行った節がある。
これによりロスネフチもベネズエラとの原油取引について慎重にならざるを得ない可能性はあり、よりベネズエラ原油が市場に出回る量は減りそうな期待が出ている。

こうしたことを背景に原油価格は50ドルから53ドルに回復してきており、個人的にコンタンゴが深まるという予想は一旦外れという結論になった。
当面は50ドルを底にしながら上にも下にも動きにくい相場が続きそうだ。

<WTI原油のチャート>
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