Opec's advisers call for significantly deeper oil supply cuts



ロシアはまだ余裕があるのではいそうですかとは言わなそうな雰囲気。

足元で中国のコロナウィルス騒動もあり、中国国内で原油需要が急減していることから原油価格は年初のイラン米国間のどたばた騒ぎを倍返しするレベルで滑落している。

<WTI原油価格のチャート>
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そういうこともありOPEC+ロシアは会合を開いて原油供給量の削減について議論している。
報道では去年の12月時点で供給量を既に1.7mバレル/日削減することで合意していたのに、もうこの削減計画では下支えするのが難しいという状況になっており、さらに2.7mバレル/日の削減を議論しているようだ。
一部専門家ではとりあえず0.6mバレル/日は供給量を削減しないと中国のコロナウィルス騒動で減少した分の需要を相殺することができないのではないかとフィナンシャルタイムズの記事では報じられている。
今回の会合ではいつも通りであるが、ロシアとサウジがメインで削減幅について議論しているようで、確かに2.7mバレル/日の削減が本当に達成できるなら十分に原油価格を下支えできる範囲になるだろう。

しかし報道を見てるとさすがに今回の議論はかなり難航しているようだ。
特にロシア側が首を安易に縦に振らない気配が強い。
報道ではロシアのエネルギー大臣であるノバク氏がロシア国内で原油産出量の削減コンセンサスが取れていないと発言している。
これは昨今のロシアでのプーチン支持率が下がっていることも関係があるだろう。
12月に供給量削減に合意してそれに合わせて予算案を作ったばかりなのに年初から追加で供給量削減した日には予算案の修正が必要で、特に昨今年金金額削減うんぬんで相当程度プーチン大統領の支持率が下がっている中で政治的にかなり決断しにくい環境になっている。
これがまだ年後半とかであれば来年度予算案をこれから組み立てるという段階だったりするのでまだ削減幅のコンセンサスについて取り組みやすいのだが、予算案作った直後にしかも一か月しか経っていない状態でさらに原油産出量絞って予算案の修正が必要という事態はロシアにとっては決断しにくい状態になっている。

それに元々ロシアは中東の大半の国に比べて原油産出コストや財政もトータルで考えた好ましい原油価格の水準、言ってみれば採算均衡点はかなり低く、もうちょっとOPECの面々が詰め腹切ってからにしてくれないかなと考えているのもごく自然なことであり、だからこそもっと原油価格が弱まって本格的にこれはいかんですよねというレベルにならないと動かなそうだという報道もかなり妥当性のある話に聞こえる。

足元の原油価格はWTIベースでみるとフォワードカーブがコンタンゴになっており、割安感が見えてはいるものの、こうしたOPECの動きも考慮するとまだ破滅的な割安度につっこんでいないと判断できそうだ。
ということで3月に向けたOPECの会合状況見る限り、まだ原油価格には下押し圧力が働くという前提で相場に取り組みたいと考えている。