ISM製造業景況指数、50.9に上昇-6カ月ぶりの活動拡大

情勢を見極めた米国人は動き始めていた。

1月のISM製造業景況指数が発表されたが、指数値は50.9と久々に50を上回って推移した。
内訳を見ても中身の推移は非常に良い内容であった。
生産、新規受注、輸入いずれも50より上に回復している。
これは明らかに12月に行われた米中通商交渉にて部分的合意という双方の妥協が行われたことから、これ以上の貿易制裁が科される可能性はかなり低そうだという観測が急浮上し、これによって企業が製造を一気に活発化させ始めたものと認識できる。
特に米国の輸入金額との相関関係が非常に高い輸入の項目が急回復したのを見ると、次回の米国輸入金額は非常に期待が持てる数値だと個人的には思っているし、もう前年比プラスに回復するのもほぼ時間の問題だろうと思っている。
よく米中通商部分合意は全く意味がないもの、これでファンダメンタルズが改善するわけがないという論調があるが、このISM製造業を見る限りは実務家はそうは思っていないということが読み取れると思うので、ここで斜に構えた論調ははちょっとひねくれすぎてるし、お寒いというしかないような気がする。
ただし相場には100%どころか、それ以上に疑似QEカウント分相場が上がってしまっているので、もはやこのISMを理由に相場が上がるということはまずもってあり得ないという認識を持っておかなければいけないので、ISM製造業の指数値見て株を買いだと思っている人も基本的には考えが甘すぎると思っている。

また、ここにきてコロナウィルスによって3月-4月ぐらいまで発表されるISMは非常に悪い数値が並ぶことは間違いない。
中国の様々な工場が稼働延期になっているのだから、実務的なダメージが発生しないわけがない。
しかたのないテクニカル的な要素で、そこはしばらく相場にもファンダメンタルズにも考慮してあげておく必要がある。
ただコロナウィルス騒動が終われば各種指標は自然と回復していく話だ。
基本的には災害や病気などで経済ファンダメンタルズまでが致命的に変わるという事例は聞いたことがなく、時間とともに徐々に問題は解決していくだろうと考えている。

以上を踏まえて考えればリスク資産についてはファンダメンタルズの回復が徐々に見え始める&EPS回復という基本シナリオを前提にしつつ、コロナウィルス騒動による回復の後ろ倒しとFRBのQE期待剥落による相場の下押しを考慮しながら買い場を探るスタンスで特に問題はないように思える。