東芝、東証1部復帰に影 子会社で不適切会計発覚

人間はそう簡単に変わることはできないが、根深さは場合によって違う。

東芝がまた子会社で不適切会計ということで、東芝株はぐだぐだな展開となっている。

<東芝の株価チャート>
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こういった企業不正というのは一度表に出てくると、大体は見えているのは氷山の一角で、その下にもっと膨大な不正があったりしていて実情はもっとひどかったりする。
それでも、その企業のビジネスが安定的な収益をあげやすい業態だと立て直しを行うのは意外と容易だったりする。

例えばオリンパスの場合は内視鏡ビジネスにおいて圧倒的シェアを誇り、いくらでもスポンサーが出てきたことからなんだかんだで立て直しすることができ、気づけば不正が発覚してボトムのところからテンバガーを決め込んだりしている。
またオリンパスの場合は事業自体で不正を行っていたわけではなく、財テクの失敗をごまかすための粉飾不正だったということも後から見ればかなり底の浅い不正だったともいえる。
それにオリンパスの企業構造も内視鏡以外はさほど大きい事業でもなく、投資家にとっても次に何が出てくるかわからないという恐怖感が薄れるのが速かった。

<オリンパスのチャート>
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一方で東芝の不正の重さと複雑さは全く別物である。
東芝の事業はほとんどがシクリカル性がある上に、事業が弱い状態の時にトップの圧力によって利益目標を達成させるために様々なクリエイティブな手法を通じて売上や営業利益を粉飾している。
これは東芝の抱えている事業が多すぎる上に、小粒で弱い事業が多いことから根本から不正を働いてしまっている。
そしてこの不正によってごまかされてきた数値をもとにトップが経営判断を行ってきてしまったことから、経営戦略自体も間違った方向に進んでしまった。
しかもトップからの圧力によって末端まで不正について馴れてしまっている体質で、各事業部においてバラバラに不正が発覚しているところも非常に真実の姿を特定するのを難しくさせている。
いわゆる不正が全社的に文化としてはびこってしまっている状態だ。

こういうのを見ると、オリンパスの不正については骨折といっても単純骨折ということもあり、粉飾を行ったトップの追放と外部資金の投入により治療が比較的容易なケースだったと言えよう。
一方で東芝の場合は、完全に複雑骨折・あるいは粉砕骨折に近いケースでこれで東芝の状態は治療できるという単純な処方箋が見つからない。
トップをすげかえてもそもそも下部組織が自主的に事業を維持するために不正を働いてしまっていることから、容易に組織体質を変えることは不可能だろう。

というわけで、不正・粉飾が絡んでしまった企業というのは、過去の不正・粉飾がどれだけ根深いものだったのかというのを見ながら投資判断するのが良いと思う。
もちろん根深い企業については投資を見送るのが吉という結論だ。