第三次世界大戦なんて起こるわけない。

前回イランと米国の緊張が高まっていると記事にしたが、欧米のツイッターでは第三次世界大戦が起こる危機だとかがトレンド入りしたとか。
しかし、個人的には現状考えられる条件では第三次世界大戦が起こるなどというのは荒唐無稽な妄想以外の何ものでもない。

戦争の歴史をひも解くと、基本的には領土を拡大するためあるいは独立を勝ち取るために行われるものである。
第一次世界大戦より少し前(ナポレオン前あたり?)までは戦争は傭兵によって行われ、さらに殺傷道具もしょぼかったため一回の戦争につき殺傷できる人間の数も計算することが可能であった。
しかし、国民の徴兵による総力戦手法および殺傷道具の進化によって一回あたりの戦争での犠牲やコストが高くなっていき、いよいよその負担が領土獲得より高くなったのが第二次世界大戦である。
領土を獲得するのに人的・金銭面的・資源的にかかるコストが割りに合わなくなってしまい、戦争を起こす誘因が大幅に減少した。
しかも植民地システムもこの第二次世界大戦により援助を行うことができなくなったことから続々と植民地から独立していくという事態が発生した。
そして産業の発展から領土を拡大せずとも自国経済を発展させる道が見えたことから、リスクリターンが見合わない領土拡大のための大規模な戦争というのは既存の先進国から行われる可能性はほとんどなくなった。
特に大きな軍事力を持つ米国はベトナム戦争・イラク戦争と高いコストを払ってきたが、その戦争に見合ったリターンを得られていないどころか、逆に人的被害による支持率低下が発生し、政治的にはマイナスとなる場面が多いことも第二次世界大戦後の戦争に関する捉え方の一つだろう。

一方で第二次世界大戦後に度々見られる小規模な戦争は、民族自決の原則をかかげて独立を果たしたい民族間戦争と中東における宗教に絡んだ戦争がメインだ。
一部民族による独立的戦争と宗教が絡んだ戦争というのはいくらコストをかけても達成しなければいけないと当事者が考えるのでどちらかが破滅的局面に陥るまで終わることがない傾向にある。
言い換えれば金銭で解決できることは大規模な戦争に発展する可能性はないといえるだろう。

さて、今回の米国とイランの緊張高まりだが、前回記事に書いた通りどちらもお財布事情を気にしながらの牽制の仕合だというのは説明した。
ただイランを存亡の危機レベルにまで米国を追い詰めれば話は別になるだろうが、イラン本土に軍事侵攻しない限りにおいてはやはりせいぜいイラクで泥沼小競合いが続くレベルのものに留まると思われる。

一方でこのイランの状況を見て対決姿勢を見せるイスラム別宗教派閥がでてくると、これは比較的大規模な中東地域での戦争に発展してしまう可能性があるため、米国以外の中東国家に動きがないかを観察することが今回のフェーズでは重要だと思われる。