中国人民銀、預金準備率引き下げ-6日から50bp下げて景気下支え

年初からぶっこんできた。

中国人民銀行が正月早々預金準備率を12.5%と0.5%切り下げる金融政策を発表した。
中国にとっては別にハッピーニューイヤーでもなんでもないので(中国は旧正月が新年)、1日早々から仕事するのはわからなくはないが、かなり市場参加者の意表をついてきた形で相場は年初からブル全開といった動きとなった。

ではなぜPBOCは年初から預金準備率を引き下げてきたのか?
これは大手銀行の貸出強化を促そうと中国金融当局が必死になっているということにある。
現在中国の金融システムは中小銀行がLGFVにずさん融資してしまい、中国政府はここを助けない姿勢をはっきりしめしていることから中小銀行で爆発的に不良債権が増える懸念(というか実際増えてる)が増加している。
その状況についてはnoteでも詳しく記載してある。
そしてこうした不良債権が爆発的に増えている間というのは、基本的には当局の指導が入るので貸出を増やすことはできなくなる。
しかし貸出を増やさなければ経済の血液である金融循環が止まってしまうことから、経済が死んでしまう。
そうならないようにするために、中国政府は体力のある大手銀に対して節度を保ちつつ、積極的に貸出を増やすよう促しているというのが現状だ。
それに中国のシャドーバンクの原因の一つが中国金融当局による厳しい預貸比率制限であり、ここの基準緩和はシャドーバンクの解消にいくらかは貢献していくものと思われる。

そして2018年後半頃からせっせと金融緩和を行ってきた中国政府の努力も少しずつ実ってきたのか、金融循環系指標は経済指標より先行して反応を始めている。
個人的に注目している中国本土株信用買い残高はあまり急激に増加するのはよくないが、じわじわと増加してきており、リスクテイクしたくてしょうがない中国人が金融緩和によって刺激され始めてるのがうかがえる。

中国株日次信用取引量

また中小銀行のファンディングの要であるNCD利回りも年末から年始にかけて急速に下がっており、中小銀行の資金繰り状況は市場が懸念するほどタイトではない。
春節資金繰りもこの状況であればほぼ懸念はないだろう。

というわけで中国については経済指標は未だ弱い状況が続いているものの、先行的な金融循環系指標については今のところリスクテイク姿勢が見えていることや、金融緩和策が効いていることを示唆しているように思える。

あとはここに米国の輸入増加というドルバラマキ要因が加われば、今年の新興国株は対米国株比相当割安であることからハッピーになれる道筋が見え始める可能性が高まってくるだろう。
今年はこの新興国株配分をどうするかがパフォーマンスの決め手になるように思える。