USB購入が悪夢の始まり…「1年で200%の利益」マルチ商法 

投資以前の前に四則演算できるようになりましょう。

最近大学生を狙った投資詐欺みたいなのが増加しているとニュースにあったが、驚いたのがそのアプローチが「バイナリーオプションを使ってお金持ちになりましょう」というもののようだ。
なぜ驚いたかというとバイナリーオプションでお金持ちになれるのは算数的にありえないからだ。
理由は下記の通りだ。

バイナリーオプション取引とは為替において一定時間先において対象取引通貨ペアのレートが上か下かを当てる金融商品取引だ。
例えば1分後にドル円のレートが今より高いか安いかを当てるといったような取引である。

通常投資家は時間に対してプレミアムを乗せて金融商品の値段を決めてくれる。
例えばオプション取引においては権利行使までの満期が長ければ長いほど時間的価値が上乗せされた値段がついている。
ドル円のプットオプションでいうと、1ヵ月先満期のオプションより3ヵ月満期のオプションの方が時間的価値が上乗せされている。
だとすればバイナリーオプションというのは時間選択権を投資家が放棄しているわけだからプレミアムをもらってしかるべきである。
しかし実際のバイナリーオプション取引では時間プレミアムをもらうどころか、相場を当てて買った時にもらえるリターンが倍を下回る。
大体のバイナリーオプションは負ければ全額没収、勝てば賭けた元本+85%の払い戻しというのが一般的だ。
つまり負けた時は全額失うのに、買った時は倍にならない時点で、期待リターンはマイナスなのである。
しかも短期的な為替の値動きというのは一般的にはブラウン運動に近いと言われている。
ブラウン運動とはいわゆる「全く予想ができない動きをランダムにする」ことを意味しており、つまり短期的には上がるも下がるも五分五分である。

FX取引は自分の好きなタイミングで反対売買を行う権利を持つため、究極的にはゼロサムゲームではあるものの、時間とともに変化するファンダメンタルズや取引参加者の動向などが時間が経つにつれ相場に織り込まれていきブラウン運動ファクターが減少するため、やり方次第ではプラスリターンを出すことも不可能ではない。
しかし、時間プレミアムを放棄させた丁半博打で、しかも期待リターンが算数的にマイナスかつ値動きはブラウン運動ファクターが大半を占めるものは長期的に取引を繰り返したらマイナスに収束することは至極当然のことだと思う。

まだモンゴル原野商法詐欺とかFX自動取引プログラムで大金持ち詐欺なら百歩譲って理解できるのだが、バイナリーオプションで大金持ちになりましょうなんて算数的にありえないんだから、これに引っかかる人はそもそも四則演算ができない情報弱者だと自ら吐露しているようなものだ。