シェブロン、1兆円強の評価損計上へ-天然ガス価格の低迷響く

見た目のPERに騙されていはいけないということですか。

個人的にはあまり触っていないセクターだし、原油価格も別に下がっているわけでもないのに、米国株の中でダントツでエネルギー株(ようは石油株なのだが)が調子悪いのなんでかなあと思ったら、上記ニュースのようにシェールガスの減損懸念をずっと織り込んでいるということにようやく気付いてすっきりした次第だ。

<S&P500 エネルギーセクターETF>
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シェブロンが1兆円規模でシェールガス資産について減損をかけたということで、多くのシェールガス業者の採算は取れていないということが露呈した。
個人的にはてっきりWTIベースで50ドルあれば大丈夫なんじゃないかみたいなてきとーなことを考えていたが、ヘンリーハブガスの価格が1単位2.28ドルということでここ数年で最悪レベルの値段になっていたことを失念しており、米国中で天然ガスが余ってしまっている状態なことを示している。

ヘンリーハブガスの動きとハイイールドのシェールガス企業の社債価格動向などを見る限り、やはりヘンリーハブガスベースで3ドルぐらいの価格は採算を成り立たせるには必要なように思える。
3ドル以下では損益分岐点に到達することができず、減損にせまられるということなのだろう。

<ヘンリーガス価格のチャート>
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2019年に入ってからより増産が進んだ米国シェールガスだが、大体その辺からヘンリーガス価格が3ドルを切っており、これによって米国エネルギー会社ほぼ全員が持っているシェールガス資産の減損にせまられていて、これによる減配や自己株買い減少リスクというのを株価ははらんでいる、だから株価が上がりづらいということなのだと思う。
そうなるとシェールガス減損リスクというのが払しょくされないと株価はいつまでたっても株主還元が減少するリスクが払しょくされず、だらだらした株価推移しかしないという状態が続きそうに思える。

ただ、シェールガス資産の大半をもう減損し終わったというのであれば、足元マーケットはシェールガス企業の退潮を見越しているのか原油価格は意外なほど堅調な動きをしていることから、株価も最悪期を脱しながら少しずつ回復してくる可能性も見えてくるだろう。

というわけでそうなると分析のポイントとしては投資しようと思っているエネルギー企業が一体どれだけ減損されていないシェールガス資産を持っており、実際これが減損になると減配・自己株買いが減るリスクはあるのかどうか、ここを計算すれば手堅いバリュー投資ができるように思える。
少なくとも単にPER・PBRが安いとか配当利回りが高いからとポジション掴みにいくと、大量のシェールガス資産の減損をくらって破滅しかねないので、見た目の評価指標には騙されてはいけない。
(なお、個人的にはあまり興味ないセクターなので、どこの会社が有利からは上記の観点から自分で見つけてほしい)