シェール企業、来年も設備投資を削減 生産の伸びも大幅鈍化へ



需要動向は弱いが、供給サイドはより弱い

ここもと原油価格は景気スローダウンな中でも不思議なほど安定的な推移をしている。
WTIベースで見ると50ドル/バレルが割れそうで割れない。

<WTI原油価格のチャート>
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需要は弱いはずなのにというところはあるが、実のところは供給の状況はもっと弱い。
ご存知の通り、OPECは増産する気なんてさらさらないし、ロシアも増産して値段を崩したくないと思っているのでやる気がない。
ベネズエラは国として崩壊していてどんどん原油生産は減少しているし、イランもあまり制裁状況に変化はない。
とここまではいわゆる既に投資家も知っているという情報だが、もう一つ大きな材料として先行きの米国シェールガス増産量が鈍っていくのではないかという新規材料がある。

米国シェールガス企業は2014年までの原油ブームの時にばかすか金を借りていくらでも借金していいから規模拡大に邁進してきた。
しかしその後の原油価格の暴落により、瞬間風速的にほぼ全シェールガス企業が採算とれない状態に陥り、2016年のWTI原油価格が20ドル台をつけたときには元チェサピークのCEOが自殺するなど凄惨な事件があったのち皮肉にもボトムアウトしていった。
しかしそれでも50ドル台だとまだ採算が取れていない企業は多く、例えば直近のジャンクボンド市場ではドベシェールガス企業の社債の今年度リターンはマイナスに突っ込んでいる。

またシェールガス企業が銀行から借り入れできなくなりつつあることもシェールガス生産の伸びが鈍化していくとも思われている原因の一つだ。
米国地銀勢がシェールガス企業に多額のローン融資をしてしまい結構不良債権を積んでいるという話もあるほか、ESG的にシェールガス企業への融資は手控えるというグローバルな動きも出ている。
こうした理由からシェールガス企業は外部資金へのアクセスが以前より細ってきており、リグの新規建設はおろか稼働維持も難しい案件が増加しているように思われる。
その証拠にベーカーヒューズロータリーリグカウント数が減少傾向で推移している。
(ただしベーカーヒューズ自体が今イケてないだけではという意見もあるだろう)

シェールガスは未だ増産は続いているが、もう少し先を見据えた生産成長率を考えると鈍りそうなことは明白になりつつある。
そうなると、よっぽどの景気クラッシュや先物ポジションの意図的な投げがなければ原油価格はそう簡単に底値割っていくというのは考えづらいのではなかろうか?
逆に景気(特に新興国)に回復が見られてきたとき、供給が弱いがために原油価格に上昇圧力かかる確率の方が高いのではないかとも考えている。
ただ今の段階で新興国の景気回復まで見通すというのはいくらなんでもあほらしいので普通に考えればレンジ内推移でテンションの上がらない相場状況が続く可能性が高いだろうとみている。