IT人材争奪戦(3)技術も人も…会社ごと買う


この記事をみてまだまだ日本の中小M&Aビジネスは続くんだなあと考え始めた。

上記記事では大企業が自社ビジネスに対して新規IT技術を導入していくにあたって、もはや自社の社員を育成していくという手ではビジネス競争についていけないということで、もう丸ごと自分達が欲しい技術を持っている中小IT企業を買収していくという手段に出ている大企業が出始めているということだ。
これは米国では既に一般的な流れである。
米国企業は社員を一部エリート以外は一から育成しようなんていうのは端から考えておらず、必要な時に必要な企業を買収しに行くというスタンスが一般的だ。
そもそも米国人は日本みたいな転職時とか辞職時とかに引き継ぎさえしていかず、いきなりクビになったり辞めたりしていくということもあり、自社育成で一から積み上げていくというのは非常に苦手としており、だからこそ必要な時に必要な企業を買収するという昨今の変化の速い時代に適合した経営スタイルになっているとも言える。
(それについては下記書籍を参考にしてもらいたい)


戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ

日本企業でも1990年代まではアナログの積み重ねが企業競争力の源泉であった時代に有利であった終身雇用制および引き継ぎの堅確性はスピードの速いデジタルビジネス領域では不利に働き、ようやく必要な時に必要な企業を買収するという経営手法が浸透してきたように思われる。
特にITは変化が速いということもあり、自社育成では到底追いつけない変化が起きているということもあり、中小ITベンチャー買収はまだまだ続いていくものと思われる。
またこうした中小ITベンチャーが大企業にEXITする手段が増加していくと、それだけでも起業インセンティブが増えるということもあり、大企業が買いたいと思えるようなIT技術を持った企業の立ち上げや投資というのは活発していくように感じる。

こういうことを考えればこうした中小企業M&Aを仲介する上場企業株というのは再度魅力的ではないかと思われる。
例えば日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズなどの銘柄はこうした現象の恩恵を受けられるような気もしており、一度落ちていた株価も元気になってくるのではないかと感じている。
以前も中小型株バブルの時にありえないレベルのバリュエーションになっていたが、ようやくまともなバリュエーションになってきたようにも感じる。
直近決算でもEPSは再び増加基調に転じてきており、決してビジネス分野全体が委縮しているという風にはあまり思えない。 

<日本M&Aセンターの株価チャート>
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