中国、銀行不良債権75兆円処理 「依然として主要なリスク」

ふと友人に聞かれたので、自分の頭の体操もかねて再考。

友人から直近の中国株上昇について尋ねられ、かつなぜ中国景気が崩壊しないのかということも合わせて尋ねられた。
そこで自分なりの説明をしたが、改めて合っているのかどうかも再確認の意味もこめて記事化しようと思う。

中国の足元の景気の方向性が弱いことは確かである。
企業のデフォルト率も上昇しており、いくつかのLGFVも資金繰りに困っているという話をよく聞く。
ただ、それでも中国の銀行のバランスシートを開示情報だけみると、例えば四大銀行などにおいては不良債権比率はネットでたったの1%台だ。
これは四大銀行など大手銀行中心に不良債権を2000年代に設立された不良債権買取会社に買わせているからだ。
つまり政府という信用力をバックにして不良債権を買い取る原資を作り、時間経過とともに経済成長していく中で不良債権の質が良化していくのを待っている。
もちろんこの不良債権買取会社は政府の資本が入っており、実質税金を使ってこうした銀行のバランスシートを綺麗に見せるようにしている。

ここまで説明していたところでリーマンショックのことを思い出した。
それと同時にポールソン回顧録を改めて読み直した。

米国政府は自国金融機関を助けるために奔走した。
ベアスターンズはJPモルガンに買収されることによってとりあえず成功した。
しかしベアスタ救済の際に、JPモルガンに政府負担を求められ、実際にその条件をのんだことから税金で強欲に金をぶんどった金融機関を助けるのかという糾弾が国民・議会で渦巻いてしまった。
そのため、リーマンを救済する方法を模索する際に、税金投入することができず、救済合併してくれるところを見つけることができなかった。

その後リーマンが潰れて、もはや税金を投入して金融機関を助けるしか手段がないと政府が腹をくくって議会で各種救済法案が承認され事態は落ち着いた。
つまり金融危機というのは実際は政府が適切な税金投入を行えば防ぐことができるということだ。
しかし実際は米国以外では財政の制約の問題や、国民・議会による糾弾を気にして救済が遅れるということが往々にして起こるため、金融危機が深刻化しがちだ。
そして金融危機が深刻化すると金融機関がローンを供給できなくなり一気に経済が冷えていくというのが金融危機における景気ダウンサイクルの典型的な例である。

このことを思い出した時、現状中国は財政的にはまだ十分に金融機関に税金を投入する力があることと、中国共産党の正統性が確保されている今では税金投入の不満を押さえつけながら資本注入していくことが可能となっている。
つまり真に中国で金融危機が起こる事態というのは、中国共産党が金融機関に税金を投入することができない事態が発生することにある。
逆に言えば中国政府が税金投入できなくなった・あるいはそういう力がないと市場が見限った場合において中国では金融危機が勃発することが想定される。
税金が投入することができなくなるという事態は、単純な税制の問題からになるか、国民が中国共産党の支配に大きな不満を持って暴動を起こすかのどちらかだろう。
現状はどちらも起こる可能性は非常に低いと想定している。

以上のように中国政府が適切な税金投入が可能・あるいはしていることから中国初金融危機はまだ起きないと推定している。