[FT]韓国ヘッジファンド業界に広がる不信感

流動性ある資産へのコンテージョンリスクははたしてないのか。

以前にウッドフォードやH2Oアセットマネジメントなどの欧州系ファンドで流動性のないレバレッジドローン銘柄をつかんでしまい、顧客の解約に対応したくても保有資産売却ができない・あるいは大幅な値引きでしか売れないという事象が発生したことから顧客の解約対応を停止するファンドがいくつか出てきていることは既に記事にしたことがある。

<過去記事参考>

流動性の薄い資産への逆風が相次ぐ


FTでは似たようなことが韓国のヘッジファンドでも起こっているというのが記事にあがった。
記事によるとライムアセットマネジメントという運用会社のファンドが顧客解約対応を停止し、投資している老齢世帯が不安に陥っているといった話のようだ。
人によっては25.7万ドルもの資産全額をこのファンドに突っ込んだという人もいるようで、来月満期予定で返還されるはずの資金が5年後まで解約対応できないということに衝撃を受けているだとか。

では問題はこのライムアセットマネジメントは何に投資をしていたのか?
資産に流動性があれば、なんなく売って解約対応できるのだが、御多分に漏れずやはり流動性のない資産への投資に集中しているといった話のようだ。
中身は海外不動産・インフラプロジェクト案件、メザニンデット、コスダック小型株指数に含まれる企業の転換社債だとかで占められているようだ。
おそらくこの資産の中にCLOのメザニンデットが含まれている可能性は高いと思われる。
いずれも株式によるキャピタルゲイン狙いというよりは、リターンが見た目上は計算しやすい高利回り債的な性格を持った非流動性資産だったと思われる。
特に足元のような景気がダウンサイドに出てしまっている時は流動性のない資産から買い手が不在になっていくことから脱出することが難しくなっていく。

流動性のない資産で行き詰まる人が多いというのを聞くと、すわリーマンショック再来かと早とちりする人がいそうだが、まずそう思った人は少し落ち着いてほしい。
問題は
・こういうところに資金を出している人達はどういった人達なのか
・銀行などの金融システムの中心にいる人達は手を出しているのか?
・手を出しているとすればどれぐらいの量をレバレッジをかけて投資しているのか
この辺が重要なポイントだろう。
例えば以前記事にしたところでは邦銀は手を出しているCLOはほとんどAAA格なのでメザニンデットは手を出していないことがわかる。
またバーゼル3の規制が施行されてからはこうした非流動性資産に対するリスクウェイトがばかでかいことから、金融機関は手を出しずらいということも確かだ。
というわけで局所的に不安視させるニュースは出るが、今のところはまだ単に強欲なアホ面をした投資家がリスク無視で行って討ち死にしたという程度ではなかろうか。
まあ日本でいうところのソーシャルレンディングで大損ぶっこいた、そんなぐらいの話ではというところだが、引き続きここらへんのニュースには注意していきたいと思う。