米国債券先物を活用 楽天・米国レバレッジバランスF 



なまじボラティリティが低い分2倍3倍当たり前。

日本で現在日興アセットが運用しているグロ3(正式名称グローバル3倍3分法)が人気だ。

グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)|日興アセットマネジメント



中身は先物を活用して株式60%(20%×3)とREITで40%(13.3%×3)で合わせて100%のリスクエクスポージャーを取りながら、残った現金元本66.7%に3倍の先物取引を行って債券エクスポージャーを200%取り、3倍のレバレッジをかけるという代物だ。
一番のミソは価格変動リスクが高く、満期が確定していないリスク自体は100%しかとっておらず、一般的には利回りが確定していて安全資産だと言われている国債先物に強烈なレバレッジをかけているところにある。
このファンドは株・REIT・債券の相関が薄いことを前提とした取引で、少なくとも国債金利上昇・REIT安・株安が同時に来なければ少なくとも資産のどれかが値上がりしてくれて助かるといったコンセプトになる。
ただ金利高に端を発したリスクオフには滅法弱い。
世界的に機関投資家が少しでも高い金利を求めてさまよっていることを考えて、しばらくそんなことはないとたかをくくっている感のあるファンドであることは確かだ。

しかしこの低金利のために債券部分に強烈にレバレッジをかける流れ、実はグローバルなウェルスマネジメント業界では蔓延しつつあるという観測が出ている。

Rich Asia investors face rising risks in leveraged bond funds



ウェルスマネジメントは文字通り富裕層のお客様の資金を預かり、顧客の要望に合わせて商品を提供していき、お客の資産残高に対してフィーを取るというビジネスだ。
こうした富裕層の資産運用ニーズは様々だが、株に全部ぶっこんで博打して増やすなんてことはそんなになく、どちらかというと債券というデフォルトさえしなければ将来リターンが読める商品を活用して資産をインフレ調整後目減りさせないというところがメインニーズだったりする。
(少なくとも超富裕層はビジネスを持っていて、そこでリスクを取っているので資産にまで余計なリスクを負わせないというニーズは高い)
しかし、昨今の国債金利低下で普通に債券を持つのでは満足な利回りが出なくなっている。
そこで先物やら資金借り入れを活用してレバレッジをかけて債券ファンドに突っ込むというのが常態化しつつあるという話だ。

また日本でもさっきのグロ3が売れているのを見て、やはり同じように考える人達も出ているわけで、記事一番上のリンクでは楽天投信からUSA360(スリーシックスティ)という米国株90%+米国国債270%=スリーシックスティ!というノリで決めたようなレバレッジファンドが登場してきている。

過剰な債券バブルにならなければよいと思うが・・・
特に金融機関へのダメージは債券の価格下落によって引き起こされるパターンが多いので、こうした動きは気がかりだ。