毎期恒例のブラックロックの決算がやってきた。

というわけで毎期ブラックロックの決算資料から投資家動向を推察している身としては、決算資料が出てくるのをわくわくしながら待っていた次第であるが、3Qの資料が出てきたので見てみようと思う。
なお過去の状況は以下のとおりである。

<過去参考記事>

ブラックロックの決算から見る相場のヒント(2018年4Q)


ブラックロックの決算から考える1Qの相場動向の要因


ブラックロックの決算から見る投資家動向(2019年2Q編)


<ブラックロック2019年3Q決算資料>
タイトルなし


大きく動きが変わった点が二点であることがうかがえる。

・個人客が徐々に動き始めている。
Retailの資金動向を見てもらえればわかるが、2018年2Q以降弱気が続いた個人資金フローがプラスに転じてきている。
なんだそんなに個人が熱心に買っているのかと思う人がいるかもしれないが、個人的にはこれは買う個人客が増えているのではなく、売っている個人客が減っているという表現の方が正しいように思われる。
各種報道を見ても個人が積極的に買いを積み上げているという雰囲気も見えないし、どちらかというとキャッシュを積み上げているといった報道の方が多いように思われる。
つまりこれは売りたいと思っている弱気側の個人客はあらかた大半が落としたいだけポジションを落としていることを意味しており、ずっと粘り強く買っている個人客のポジション量が相対的に大きくなっていると思われる。

・アクティブ機関投資家の動向は一気に鈍り始める
1Q・2Qとどかどか買いまくっていたアクティブ機関投資家だが、急速に動きは鈍くなり、ここにきて資金流入はマイナスに転じている。
もちろん高値不安という要素もあるだろうが、もう一つ大きい要素としては年初からここまで要求されているリターンを既にクリアしていて、もう利益確定して年末までバカンス取ろうとしているプレイヤーがかなり多いのではないかということだ。
もちろん解約に伴う強制売りという部分も一部はあるかもしれないが、足元の相場動向を見るとその量はそこまで大きくはないのではないかと推察される。

<過去参考記事>

売らなきゃいけない人がいるときに相場は壊れる


逆に動向が変わらない部分は以下のとおりである。
・パッシブ機関投資家の動向は変化なし
これはおそらくクオンツ系やバランス系のポジションがメインになると思われるが、ここは今年の1Qから淡々と買っていることには変化はなさそうだ。

・ETFも淡々と買われている傾向に変化なし
ETFは2018年4Qの大下げしたところでバカスカ買われて以来、安定したフローで買いが入り続けており、なんだかんだで安定した買いフローが継続していることが確認できた。

<結論>
アクティブ機関投資家は要求リターンをクリアしたことから、既に来年まで大してやる気がない状態でポジションクローズに動いている。
一方で個人客のブルベア動向が売り減少に伴う徐々にリスクアペタイトになっている可能性が高い。
このままアクティブ機関投資家の売りに相場が引きずられるのか、それとも個人が再びファイティングポーズを取り始めたことによって相場はバブルに向かうのか、ここに考えを巡らせながら相場に取り組んでいきたい。