エクアドル政府が首都から脱出、抗議デモ激化

新興国の最も大きなアキレス腱。

新興国の多くは国民の支持を取り付けるために生活に必要な部分に補助金をつけている。
特にその中でも重要視されているのが燃料補助金だ。
具体的にはガソリン・軽油・クッキングオイルの3つあたりに補助金を出して庶民の生活コストを下げている。
新興国では先進国と比べて公共交通機関というのがないに等しいため、自分で交通手段を確保する必要性がある。そしてその代表が自動車・バイクであり、持っているけど通勤で使わない人はタクシー、自前交通手段を確保できずタクシーに乗るお金もない人達がバスや怪しいオート三輪みたいなのに乗るといった構図になっている。
新興国で鉄道がまともに走っている国というのは東欧や一部アジアを除けば片手で数えるほどしかない。

こうした交通を足を支える費用というのは直接的に家計に影響を与えるものであり、削減というのが概してしづらい。
そのため今まで政府がこうした燃料に出していた補助金を削減すると家計への影響度は非常に大きい。
何分こうした新興国での平均所得は先進国の1/5-1/10というのはざらなので、反発を買いがちである。
しかも大体こういう燃料補助金を削減するときというのは政府の財政が苦しい時=経済環境が非常に悪い時というのが常であるため、所得は減るのにデフレじゃなくてインフレが起こって不満が大爆発する。
しかもその不満は暴力を伴う過激なものにあり、下手をすると政権を揺るがす事態に陥ることもしばしば起こる。
今回のエクアドルももうこのままでは生活できないし、失うものは何もない国民が集結して議会建物にまで侵入するという強硬に出ており、中央政府が首都から脱出するなど状況は混沌としてきており、ソブリン信用力にも影響が出かねない状態になっている。

エクアドルレベルだとあんまり普通の投資家は気に掛ける必要はないが、これが東南アジアの国だとおそらく普通の個人投資家でも気になると感じる人はいるだろう。
東南アジアでこうした燃料補助金を大量につけている国は二ヵ国あり、マレーシアとインドネシアである。
特にインドネシアはまだ所得水準が十分でない上に交通インフラも未発展ということもあり、燃料補助金は直接的に家計に影響を与える。
インドネシアも政府が補助金を削ろうとすると暴動が起きるといった苦い歴史があり、この時はやはりインドネシア経済そのものに懐疑的な目線を向ける投資家が増加した。

こうした新興国特有のリスクがあることを我々投資家は頭の中に入れておくべきだろう。