好悪入り交じる米雇用統計、FRB当局者の見解なお分かれる



2018年までならまだメイクアメリカグレイトアゲインできていると言えていたのだが

先日発表された非農業部門雇用統計者数見ていると水準は2018年より低いとはいえ、ぼちぼちといった雇用者増加数となっている。
だがこれを製造業雇用者数で見ると大きく景色が変わっている。

<米国製造業雇用者数変化>
タイトルなし

米国 - 製造業部門雇用者数 - 経済指標



2016年に製造業雇用者数がマイナスと厳しい動きをしていた中、循環的な景気盛り上がりに加えてトランプ減税フィーバーもあり一気に製造業雇用者数はここ数年では久々のロングランでの製造業雇用者数の増加となった。
しかし雰囲気がおかしくなってきたのは2019年に入ってきてからであり、ちょうど米中貿易戦争の緊張感が高まってきたところから大きく不調になっていき、一旦3月にはマイナスに転じる状態となった。
そこから6月にかけては再度増加したものの、そこから勢いは失速していき、結局9月の統計はまたマイナスに落ちてしまった。
なおこの製造業雇用者数の増減を見ていると、ここ数年の谷は2015-2016年にかけてと2019年中旬からとなっている。
ちなみに2015-2016年というのは中国の人民元切り下げショックのあった時期である。

ここから導きだせる結論としては、
・米国の製造業の雇用は主に中国景気に振らされている可能性が高く、中国への輸出物品動向で決まっている
・関税によって国内に製造業雇用を取り返すとトランプ氏は豪語しているが、それは実現できていない

この2点に尽きると思っている。
やはりこの統計を見ていると一度流出した雇用を無理やり取り戻すということは難しく、製造業でなにかしら新しい輸出物を生み出すしか製造業雇用者数を増やす手立てがないということではなかろうか。

2018年の製造業雇用者数増加も状況を振り返ればトランプ減税による米国の消費活発化→中国からの輸出増→中国の設備投資増加→中国から米国への設備投資発注増加という流れに基づいた雇用者数増加だったのだと思う。
それを考えれば知財関連に関して厳しい態度を取るということはわからなくはないが、そういった現在米国から中国に輸出している物品・サービス以外で手当たり次第に関税をかけるということはほとんど雇用増加に役に立っていないことは明白ではなかろうか。

というか逆に明らかに米国製造業雇用に悪影響を与えており、この事実にどの時点で共和党支持者が気づくかは一番気になるところである。
2018年の状況までならメイクアメリカグレイトアゲインできているし、トランプ当選一択ですねとなるのだが、ちょっと足元の製造業雇用者数マイナスという数値を見ると必ずしもトランプ氏の支持基盤は鉄板だと言い切るのは難しいような気もする。

またこの数値動向を見ると2018年と2019年4-8月はまだ中国との交渉を蹴る余裕があることがうかがえるが、足元では次に控えている選挙を考えると不用意に蹴るのは難しく、何かしら米国側が妥協をする可能性が従前より高まっているのではないかと個人的には考えている。