サウジ、イエメンでの部分的停戦に合意=関係者

サウジアラビアの空爆作戦は失敗に終わった。

サウジアラビアがイエメンのフーシ派と部分的停戦したという報道があった。
ここ数年イエメンはイランの支援を受けているフーシ派の勢力が拡大しており、これがサウジアラビアにとっては隣国に新しくシーア派勢力ができるという危険極まりない状態になる懸念が生じていた。
これに対処すべくサウジアラビアは空軍を使って空爆を行い、なんとかフーシ派の殲滅を画策した。
しかし、世論やコストを気にしていたせいもあり陸軍は投入しなかったことにより予定したような戦果は挙げられていない状態であった。
(歴史的に空爆だけで決着できた戦争例はない、本当に殲滅するならば陸軍投入は必須)

しかし少なからずこの空爆によってダメージおよび作戦妨害を受けているフーシ派も面白くはないので度々反撃を試みていたが、今回ドローンの大量投入による石油処理施設の爆破作戦に成功したというのが今回の背景だろう。
そしてこれを受けてサウジアラビア政府はイエメン空爆を停止することを決断した。

これはフーシ派からこれ以上空爆を続けて邪魔をするようであればこちらもできることはなんでもやるという意思表示とサウジアラビア政府は捉えたということを意味する。
これ以上戦果をあげられない空爆を続けた挙句、サウジアラビアにとって唯一といえる収入源にダメージを与えるような攻撃を受けることはコストパフォーマンスの観点から合わないというとらえ方をしたのだろう。
一方でフーシ派はフーシ派で、今回の作戦はとりあえずサウジアラビアが空爆をやめたことから一回きりであろうことがうかがえる。
もし複数回繰り返してしまえば、それはさすがに米国を筆頭に世界各国のエネルギー調達ラインに対するテロリズムが常習化する危険性が認知され、下手すると本当に米国陸軍が投入されてしまう危険性がある。
複数回サウジアラビアへのテロが実行されれば米国にとって米国陸軍投入コストがベネフィットを上回ってしまうので、多少の犠牲を伴っても米国政府が軍投入を決断する可能性は飛躍的に高まるし、欧州各国も見過ごすわけにはいかなくなるだろう。

以上を勘案するとサウジアラビア政府のイエメン空爆停止によって当面は中東情勢は動かなくなることが想定されるため、しばらくは追加でサウジアラビアの石油処理施設が攻撃されるという危険性は考える必要性はないだろう。
ただし、イエメンがフーシ派によって支配されるようになったら話はまた別次元に移行しかねないので、イエメンの情勢については随時追っていきたいと思う。
またいつでもサウジアラビアの石油処理施設は爆破されかねないという事実も消し難いことは頭の片隅には残しておきたい。