JDI、中国ファンドが支援見送り 再建案白紙に

かなり詰んでる感があるけど。

JDIが中国ファンドからの支援が打ち切られたということで、もうJDIのデフォルトは待ったなしなのではと市場は考え始めている。
個人的にもちょっと今のままだと再建は難しそうだなと感じる。
なぜそう思うのかを決算資料を交えながら説明しようと思う。

2019年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)
2020年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 

まずPLから見るべき項目を見ていこう。
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製造業を見る上で最重要になるのが粗利益率(売上総利益/売上高)。
製造業における粗利益率は製品販売単価・原材料コスト・設備減価償却で決まるので短期的に改善させに行くのは難しい。
一般的にすぐコストカットできる広告費や人件費などは販売費および一般管理費扱いになるので、まず粗利益が十分にないと製造業はどうひねっても利益は出てこない。
粗利益率が改善させるためには
・製造物の製造単価引き上げ 
・設備稼働率を高めて一個あたり製造原価を引き下げる 
・設備投資の減損 
・投入原材料コストの削減 
この4つに絞られるが、JDIの業況を考えると現状いずれも行うことが難しい。
なので粗利益がまずマイナスになっている時点で企業の継続性に疑問が投げかけられる。

次に財務の中身を見ていこう。

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一応JDIの在庫回転期間は2カ月ぐらいに収まっていることから投げなければいけない在庫はあまりないように思える。
ただし、JDIの資金繰りはキャッシュフロー表を見るまでもなく厳しいことは財務諸表から見て取れて、売掛金に対して異常に大きい買掛金の状況を見ると、相当部材メーカーに対して頭を下げて決済を引き延ばしてもらっていると思われる。
しかも銀行も長期の借入金にもう応じてくれなくなっていて、ひたすら短期借入金をロールさせている状態なので、資金繰り担当者は毎期毎期の資金繰りを考えることで頭がいっぱいで、正常な設備投資案を考えることさえ難しい状況だろう。

前年度末締めている決算資料のキャッシュフローを見ても営業CFの段階で大幅マイナスになっていることから、この状態は普通に考えたら他社から出資を受け入れるしか選択肢はないだろう。

しかしJDIの大きな問題はおそらく設備稼働率の低さにあり、有機ELの開発が遅れている段階で果たして設備稼働率の改善なんてできる人がいるのだろうかと言われると非常に難しいものがある。
また開発の遅れを取り戻すにはまず大きな設備投資の減損を行い、それから多額の研究開発資金を投入を行わなければいけない。
でもデフォルトさせてからならもっとお得に買収できるじゃんと考えるプレイヤーがほとんどであるだろうから、今回結局中華勢から出資を断られれ、最後の頼みの綱であるアップルからも断られたらもうデフォルトするしか道は残っていないだろう。