日銀は国債買入3本ともに減額」牛さん熊さんの本日の債券

前回のFRBの会合を見て日銀関係者は胸をなでおろしているのではなかろうか。

今更だが、前回のFOMCの結果を振り返ってみよう。
利下げを行い、政策金利は25bps下がったものの、さらなる利下げについては連銀メンバーもそこまでアグレッシブに利下げしたいと考えているようにはドットプロットを見る限り見えない。
パウエル氏もわざわざ景気減速がさらに見えるなら金融緩和を追加していくと口では言っているが、ほんとうにやる必要あるのかどうか悩ましく思い始めているような雰囲気でもある。

FOMCが連続利下げ、今後は「穏やかな」政策調整で十分と議長

市場もどれだけ米国が政策金利引き下げが必要なのかとみていたが、現在の景気度合いを考慮すると年内はせいぜいあと1回、来年についてもあと1回ぐらいじゃないのという見方が台頭し始めている。
未だ景気見通しは弱いが少なくとも数カ月前と比べて警戒感は薄くなりつつあるということだ。
つまり米国の最終的な政策金利着地点は今の段階では1.25-1.5%までしか見えていないということになる。
それ以上の利下げについてはちょっと前までは市場関係者のレーダーには入っていたが、今はレーダー範囲から徐々に外れ始めている。

こういう見方が台頭しはじめたことに一番ほっとしているのは日銀関係者ではなかろうか。
少なくとも為替は相当程度米国で利下げが発生することを前提にして取り組まれていたことから円高にふれやすい地合いになっており、日銀としても国債買い入れを減額してさらなる円高を起こすことはしたくないと思っていたに違いない。
しかし本当は国債買い入れ減額(特に長い年限)してイールドカーブを立たせて、弱り切っている地銀の体力を一定程度回復させたいと思っていることもまたしかり。

そしてFRBでの思ったよりタカ派な会見を見て国債買い入れ減額するなら今のうちというばかりに超長期と長期の買い入れを減額してきた。
しかも買い入れ減額が判明した後も全く円高にならなかったので日銀の作戦は成功した。
またこの動きを見てもわかる通り、日銀は手前側のマイナス金利を深堀させる可能性はまだあるが、少なくとも長期年限の国債金利をこれ以上下げる気はあまり持っていないことがうかがえる。
日銀のステルステーパリングはまだまだ続くことが予想される。
また足元も一旦は急激な円高というのも、FOMCの結果を見る限りはそこまでなさそうだなという感じもする。