拡散する“現代のカラシニコフ” 中東ドローン戦争



地政学リスクのレベル感は変わった。

サウジアラビア政府は公に原油生産状況についてテロ攻撃によって失った処理能力のうち半分は速やかに回復、残りも9月末までには回復するという見通しを出したことによって、オイルショック危機というのは避けられた。

サウジアラビアの石油生産、月内復旧の見通し

しかし原油価格は今回のテロ攻撃によって上昇した分の半分ほどしか下がらなかった。
これはサウジアラビアの原油処理施設に対して常に攻撃を受けて被弾するリスク分が織り込まれていることを示している。

<WTI原油のチャート>
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サウジアラビアの原油関連施設というのは、サウジアラビアだけでなく世界経済の大動脈でもあるため、サウジアラビア軍だけでなく米軍も配置して警備している。
もちろん人を張るだけでなく、ミサイル撃墜設備など対空警備も最新鋭を揃えているし、それはサウジアラビアがどれだけ米国から兵器を購入しているかを調べれば一目瞭然だろう。

しかし、今回の原油処理施設の爆破テロはこうした世界最高峰の厳重警備システムを掻い潜って目標の攻撃に成功したということだ。
この攻撃が成功した背景にはドローンの技術革新によるコスト低下が大きく絡んでいる。(記事一番上のリンク記事参照)
ドローンの進化によって小さな飛翔体を遠方に飛ばすことに対するコストは大きく低下している。
しかもアマゾンのドローン配達事業などを見てもわかる通り、プログラムを組めば自動で指定したところにピンポイントで飛ばすことができる。

そして昨今の調査で民間企業が販売している部品をかき集めれば、誰でも千キロ以上飛ばせるドローンを一基当たり原材料コスト数百ドルで製造することができる。
DJIのドローンが普通の人でも10万円ぐらいで買えるのを見れば納得のいく話だと思う。
ではこのドローンに爆弾を搭載して数十体同時にピンポイントに巨大建造物に向かわせると考えると、かなり防ぐのが難しいのではないだろうか?

しかも攻撃する側は今までミサイル一機作って発射するコストと同じコストでドローンを千機以上作れるし、運用できる。
大規模に同時に破壊することはできないが、ゲリラ的に攻撃する分にはコストパフォーマンスは非常に高くなっていると言わざるをえないだろう。

こうした今後低コストドローンによる攻撃にサウジアラビアの原油施設が常に晒されるリスクが表面化したことが、足元の原油相場を3-5ドル程度押し上げる要因になっている。