イタリア五つ星運動」、民主党との連立樹立承認 新政権誕生へ

普通に考えたら五つ星に投票してきた人達は裏切られたという気持ちでいっぱいだろう。

ここにきて五つ星が中道左派と連立を組んで政権を構築するというウルトラC的な行動に出てきた。
これによって早期解散総選挙の可能性は消えつつあるということで、昨今の国債がどぼどぼマイナス金利に沈んでいく中で高い利回りを出すということで光り輝いているイタリアの中長期債に全員突関をしており、イタリア10年国債利回りが1%を切る水準にまで買われてきた。

<イタリア10年国債の利回り>
タイトルなし


個人的には確かに短期的にはイタリア債にポジティブだが、これは中長期的にはまずい流れなのではと感じざるを得ない。
理由を考えてみよう。五つ星に票を投じてきた人達は元々中道左派のEUにペコペコした挙句、なにも物事が進まないことに嫌気がさしたから五つ星を支持し、票を投じてきたのだ。
なのにここにきて中道左派と連立するという時点でなんなんだこいつと思うのが大半の有権者の感想ではなかろうか?
また中道左派に票を投じてきた人達も、え、五つ星と連立組むの?と率直な感想を持ちそうだ。

もちろんこの連立によってイタリアでの早期選挙の可能性はなくなってきているのでイタリア債は買いだという判断は短期的には正しい。
でも普通に考えたら五つ星と中道左派の政策が合致するなんてことはあり得ないことに加えて、また決められない政治が続くことが目に見えている。
それによって五つ星と中道左派に票を投じてきた人達の支持率が減少するのは確実だと思う。
そして次の選挙でサルビーニ氏が台頭してくることはまず間違いないと思われるし、五つ星と中道左派の連携に不協和音が見られればサルビーニ氏は積極的な口撃をしてくるだろう。

そして次の選挙に入ればサルビーニ氏率いる同盟に票が集まることはほぼ確実であり、その時イタリア国債はどういう動きを見せるのか今から想像するとうへーっという気持ちになる。
そういう未来がほぼ見えているけど、欧州も国債金利がマイナスに沈む中でどうしようもないということでその考えに蓋をしてみんな脳死したようにイタリア国債を買っているというのが今の現状だ。
未来の帰結点がわかっていても無視して投資せざるを得ない投資家がいる、それが今の債券市場の構造だ。結局は最後ババをつかむのは誰かというババ抜きだが、それまではチキンレースが続くだろう。債券投資家は状況がギリギリ切羽詰まるまで粘りがちなのである(アルゼンチン債とかはまさにその典型例)