China slowdown knocks Asia coal price to 3-year low



中国とインドの景気スローダウンは基本的には資源価格にとってはネガティブである。
しかし資源によって需給の構造が違うため、そのネガティブ度合いは大きく異なる。

資源の中でも現在最も被害を受けているのは石炭だ。
例えば鉄鉱石を考えてもらうと、鉄鉱石は輸出供給が実質的にはオーストラリア・ブラジルの二択(ほかにも南アフリカとか少しあるが)で、しかも大手が寡占しているので供給が絞りやすく、比較的価格コントロールがしやすい部類の資源だ。
しかも中国がインフラ建設の推進をしていることから、まだ需要は底堅い。
銅は同じように中国のインフラ建設の恩恵を受けるが、一方で供給サイドは鉄鉱石ほどは集中しておらず供給が絞りにくいので足元でそこまで価格が盛り上がっていない。

さて石炭についてはどうだろうか?
石炭というのは実は基本的には大体一定程度国土のある国ではどこでも掘削して産出することができる。
例えば日本でもいざとなれば夕張の山を掘れば石炭を掘削することができる(採算は合わないけど)。
需要の伸びのほとんどを占める中国・インドも実は石炭は掘ろうと思えばいくらでも掘れるが、採算ラインの観点から輸入の方がお得な場合は輸入するといった形をとっている。
そう、石炭は掘ろうと思えばどこでも掘れるのだ。

しかも中国・インドの石炭消費量の伸びはあからさまに鈍化しており、昔は二桁%の消費量の伸びをしていたが、今や年率3%ぐらいしか増加していない。
また石炭消費というのは基本的には大気汚染と表裏一体であり、これ以上の大気汚染は中国、さらに言えばインドでさえ認められないレベルになっているということもあり、政府自体が石炭の消費をばかすか増やして大気汚染を拡大させることはまかりならんという態度を取っている。

そして中国・インド以外は石炭需要は減少傾向にある。
これは石炭火力発電所がどんどん閉鎖されていることによる。
以上から石炭は構造的に需要過小・供給過多という状態が継続的に続きそうなうえに、どこでも掘れるので需要の調整がどの資源よりも効きにくいという構造になっている。
これが昨今資源価格の中でも石炭価格の下落が顕著な理由だろう。
世界的にはどんどん脱石炭が進んでおり、石炭事業は自国エネルギー確保という名目以外には特段熱心になる理由を探すのは難しいように思われる。