米30年債利回りが初めて2%下回る、2年・10年逆イールドも再出現

米国の2年と10年国債の利回りがインバート(逆転)したということが話題になっているので個人的な考察を述べてみようと思う。

一般的には長短金利の逆転というのは中央銀行が後手に回ってしまっていて、長いところがより強い金融緩和をせっついている一方で、短いところは中銀のアクションが遅れているので長いところほど下がらないという事象が発生することによって現れるイールドカーブの形態と解釈される。

確かに通常の景気サイクルであればそうとらえることが自然だと思う。
でも今回FRBが後手に回っていると思われることについては不憫極まりないなと感じる。
なぜなら今回の景気減速のほとんどが米国トランプ大統領の保護主義が原因だからだ。
特にトランプ政権の保護主義の悪いところは産業界などに根回しなしに突然発表することにある。
確か関税第一弾らへんとかは一応根回しをしていたはずなのだが、もはや最近の保護主義政策は絶対に産業界からはNOをつきつけられるのをわかっているのか、事前根回しなんてほとんどしている形跡が見られない。

根回しなしで発表するわけだから、産業界もFRBも予見することが難しい。
そして将来についてトランプ政権が次にどういった保護主義政策を実施するのか予見できないので企業が設備投資計画や発注計画をまともに策定することができない。
だから急速に企業支出が滞り始める。
FRBも事前に立てていた景気予測を新しい保護主義政策が出るたびに書き換えなければいけない。
そんな状態でFRBが後手に回るなという方がはっきりいって難しいのではなかろうか?
そしてトランプ大統領はFRBに景気が悪くなっているんだから金利を下げろと言っているが、現状の景気減速の原因が将来の米国の貿易政策が読めないせいで抑制されてしまっている企業支出が原因なわけで、いくら金利を下げようが将来予見できない根本原因が取り除かれていないので政策金利引き下げが景気浮揚策になるわけはない。

これは別にパウエル議長ではなくて、他の議長でもほぼ同様に後手に回ってしまうことは想像に難くない。
景気を浮揚させるためには、少なくとも現在のトランプ政権の根回しなしの保護主義政策の実施をやめ、企業に予測可能な政策ガイドラインを示す必要があるだろう。
それだけでも随分市場の雰囲気は変わるものと思われる。

とにかくトランプ政権の曖昧な線引きが企業のリスクテイク姿勢を悪化させていることは念頭に入れて投資に臨んでいきたいと思う。そしてこのまま雑な政策運営を続けると、去年12月末のような相場の動きになることも頭に入れておきたいと思う。