インドのノンバンク金融危機は日に日に深刻化しているのかもしれない。FTの記事にてかなり大きめに取り上げられているが、当ブログでも何回か記事にしているIL&FSのデフォルトから全く流動性は回復していないようだ。

しかもその後デワンハウジングのデフォルトもダメ押しで発生したことから、そのあたりから急速に自動車の販売動向が鈍っており、カーディーラーショップも次々とシャッターを下ろす羽目になっているだとか。
それにインドの中小企業はこうしたノンバンクからの借り入れに依存しており、ノンバンクがリファイナンスに応じてくれないと資金繰りが回らないということで、ローン需要はあるが盛大な貸し渋りが発生してしまっているということのようだ。
違うニュースソースではミニリーマンモーメントとまで書かれている。

なぜインドのノンバンクがこんな状態になっているかというと、マネーマーケット市場参加者がインドの格付け会社の格付けが全く信じられなくなっているからだ。

Moody’s India affiliate ICRA puts chief executive on leave

ムーディーズが出資するインドの国内格付け会社ICRAにてCEOとディレクターが辞職したという話が出てきている。
どうやら金融当局にデフォルトしたIL&FSにAAA格付けをデフォルトする直前まで付与していた件について何かしらの不正があったのではないかという調査をしている最中だったようだ。
このIL&FSに絡んだ話は先月もKPMGとデロイトがIL&FSの不良債権隠しに加担したとして5年間の会計業務の停止を政府が模索しようとしているという話もある。
詳しくどういう不正なのかまでは不明のようだが、取り調べ中の突然の辞任だったようで、一体何が起きているのか部外者にとってはさっぱりわからないし、じゃあこのICRAが付与しているAAA格付けというのは本当に信用できるのかという信用問題にまで波及しているということになっている。
ICRAが発行体と共謀して手数料欲しさあるいは上層部の不正による蓄財のためにてきとーなお手盛り格付けを付与しているとしたら、ただでさえ信用ならないインドの企業に対して、信用する拠り所がなくなってしまう。

こういう話もあってなのか、インドのビジネスリーダーの中にはつぶれそうなNBFCは政府がテイクオーバーしろと言っていたりする人もいるが、インドは何をするにもすごく時間がかかるので、できるとしても事態はもっと深刻化してからになると思われる。
そんな中インドの株価はまだ荒れる様子を見せておらず、しかも主要国の株価の中でも相当高いPERとなっているが、これが正当化されるのだろうか?