村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年04月

インドのコロナウィルス新規感染者数が製造工場停止レベルに至る

スズキ、インド3工場の生産停止 ホンダも、コロナで酸素不足

日本のメディアニュースでも結構流れているが、英語ニュース(特にアジア圏英語ニュース)ではよりピックアップして報道されている。

直近で色々ニュースになっているが、インドのコロナウィルス新規感染者数がのっびきならない状況になっている。

<インドのコロナウィルス新規感染者数>
タイトルなし


まあ多少感染者が増加したところで、娯楽・飲食店の経済活動抑制ぐらいであればそこまで相場には影響しないのが現状である。
そのような中でホンダがインドの二輪車工場について 5月1日から15日まで生産を全面停止するというニュースが流れてきている。
こうした製造工場停止は去年の第一波の時には世界各国で同様に人が集まる製造工場の停止が見られ、これが相場では大混乱を引き起こす結果となった。
しかし第一波以降は各国対応策などを学習し、そもそも製造工場を止めること自体があまりコロナウィルス感染拡大対策として効果が薄いということで、ロックダウンしたとしてもメインは飲食店・娯楽施設の閉鎖に留まっていた。

しかし、インドで再び製造工場が止まり始めたのを見るとインドに限っていうとかなりまずい状況になっていることは確かだ。
ニュースでは医療用酸素が不足しており、工場から酸素を回しているため操業できないという話もあるが、さらにいえばもう感染者が意味不明なレベルで増加してしまっていて止めざるを得ないという事情もあるだろう。
これまで世界各国でコロナウィルス感染者が増加しても株価が下がらなかったのはGDPとして比率の高い製造業は止まることはなかったからである。
しかし、インドの場合はどうやらかなり別問題のレベルにまでなってしまっているように見える。

インドは元々感染症が広がりやすい衛生環境にある。
ムンバイにいけば、どこに行っても人だらけでめまいがしそうなレベル。
トイレの普及率は隣国バングラデシュより低い。
それに人口に対する医療施設・医者の数も非常に低い。
インドの不運なところはそこに度々ある州選挙が重なってしまい、人が密集しやすい状況が生まれているということである。
中国と違い、あくまでいくつもの州が集まってできた国ということもあり、まとまりも薄いことが感染症対策ではマイナスに効いている。

そういった意味では少しインド株についてはかなりネガティブな目線で見られる可能性は高いように思われる。

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金融政策の感応度が高まる仮想通貨

ゲーム大手ネクソン、100億円超のビットコイン購入ー株主価値向上で

現金化の必要に迫られたら真っ先に売却されそう。
足下上記のように企業がビットコインを余資を使って投資するという例が増加している。

これが意味することは以前よりも金融政策に対する感応度が高くなっているということである。
なぜなら企業は常に市場の金利に沿って資金を調達しているわけで、この金利動向や資金調達難易度によって余資の扱い方が大きく変化するからである。
もちろん多少の金利変動ぐらいでは企業の金余り状況に変化はない。
しかし、何かしらの事情で企業が資金調達しにくくなる環境においては借金を返す・あるいは運転資金に使われる目的で保有している仮想通貨はまず間違いなく売られるだろう。
仮想通貨では今のところ借金を返すことも運転資金としても使うことはできないわけだから。
特にLQDやHYGが売られている局面では直接的に社債の発行や銀行ローンの調達が止まり、企業が資金調達に困る段階になるので、そうなると現金(ドル)に変えやすく事業資産に関係ないものから売られると考える。
これが以前の個人が余資で投資していた2017年とは現在の仮想通貨市場が変わっていることである。
なので、本当にテーパリングが来るという時期には一度大きめのアンワインド(平気で4割とか5割)は想定の中には入れておきたい。
しかも企業の資金調達に絡むと、融資を受けている銀行から売って資金作ってから泣きつけよと突き放されることもあり、底値とわかっていても売らされるというのが頻発する。

まあその前に一回先物やPerpのところのファンディングコストが高騰するレベルでバブる可能性は高そうだなと感じている。
Bitmaxのファンディングコストを常にウォッチしているが、一旦ビットコインが6万ドル超えしたところでは8時間ファンディングコストが瞬間風速で0.3%にタッチしていやな感じであったが、その後下落とともにファンディングコストは落ち着き、今は8時間ファンディングコストは0.01%に落ち着いている。
この時は売られている時か過熱感がない状態を意味しているが、一旦大きめの反発をみせたところを見ると売られるステージも一周し、一旦買い玉も売り玉も整理されて仕切り直しとなったように思われる。
このファンディングコストが0.01%からテイクオフするまではまあロングでも問題ないんじゃないかなと思っている。

<参考サイト>
https://www.bitmex.com/app/fundingHistory?start=0

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FRBのテーパリングの可能性について別角度で考察

これまで、このブログでは現在のインフレや景気盛り上がりはあくまで米国政府の気前の良いばらまきの効果であり、これが永続的に続くように考えて財政引き締めの前に早期テーパリングを唱えることは間違っていると書いてきた。

<過去参考記事>

財政拡張策の撤収前にテーパリングというのに違和感


それに加えてもう一つ早期テーパリングはないだろうと考える理由がある。
それは早期テーパリングによって経済を揺るがすような市場変動リスクを冒す丹力がパウエル議長にはないだろうということである。

もし早期のテーパリングをかけて市場がそれに急速に反応して、経済を揺るがすレベルの市場変動が起きたとしよう。
特にテーパリングの場合直接的に金融引き締めになるので、マネーマーケット周りで変動が起きて銀行間取引がフリーズしたりすると、問答無用で資産の現金化行動が起きて相場が変動してしまう可能性は非常に高い。
ワクチン効果で感染者がコントローラブルなレベルになる前にそういう決断を行ったことに対して激しい非難が起こることも想像に容易い。
なぜそのような決断を下したか、いくら中銀に独立性があるとしても政治的に大きな批判を受けて吊し上げられることは間違いない。
しかも、これは米国だけの問題ではなく、米国の金融政策に大きく影響を受ける新興国も間違いなく巻き込まれる。
多くの国がドル建て債務の借り換えができなくなり、IMF駆け込みが発生するだろう。
このような事象が起きればまず間違いなくパウエルショックという名前がつく。
こうした汚名が歴史の教科書に残るのである。
そのような汚名が歴史の教科書に残るリスクを、トランプ政権時代にトランプの圧力に屈したパウエル議長が果たして犯せるだろうか?
それ以前にイエレン議長時代に早期利上げチャレンジして失敗しているし、2018年も全力で利上げチャレンジして滑ったことも考えると、やはり人間心理としてコロナウィルス感染者がまだアンコントローラブルな時に早期テーパリングで不要なリスクを取るというのはパウエル議長の丹力では無理であろう。
以上を考えれば、少なくともコロナウィルス新規感染者が米国内でコントローラブルなレベルになるまでテーパリングリスクを取るのはパウエル議長には無理だろう。

かといってツイストオペしてくれるみたいな観測も、それはそれで甘すぎる。
既に不動産価格がバブル真っただ中にいる中で、さらに不動産価格をバブらせるような長期金利押し下げ政策をする可能性は万に一つもないだろう。
なので、FRBの行動は一択で現状の金融政策をコロナウィルス新規感染者数がコントローラブルなレベルになるまで続けるということだけである。

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TSMCが世界の公器として圧力がかかる日が近いかもしれない

Global chip shortage spreads to toasters and washing machines

国家パワーバランスに翻弄され始めている予感。

去年後半ぐらいからずっと半導体不足という話は続いている。
この半導体不足が深刻化していくたびに個人的にはTSMCに色んな意味で世界の公器としてのプレッシャーがかかりはじめているように感じている。
今日はその理由についてメモしておきたい。

現在TSMCは以前にニュースに出ていたと思うが、世界各国から増産をせっつかれている状況にある。
しかし、この増産要求については必ずしも利益率の高い商品ではなく、利益率の低い商品も多数含まれており、TSMCとしては高利益率を保つためにはあまりそういった商品には取り組みたくないと考えている節が見られ、そういったことをほのめかすようなコメントもちらほら出ている。

<参考ニュース>
台湾TSMC、生産技術で独走 各国政府が増産要請

これが米国企業であれば、基本的にはそういった要求を平気でつっぱねるということも可能だろう。
しかし問題はTSMCが台湾の企業ということであり、政治力学に巻き込まれやすいことにある。
ご存じのとおり、台湾というのは実は未だ未承認国家で、中国は目と鼻の先に米軍基地がある台湾を非常に鬱陶しく感じで降り、度々台湾を巡って米国と中国間の対立が先鋭化する。

(未承認国家とかそこらへんの話は下記書籍を参考)

未承認国家と覇権なき世界

ただし、これまで中東やバルカン半島のようなごたごたになってこなかったのは、そもそも利害関係者が米国と中国の二か国しかなく、その上お互い陸続きではない地域を巡るもの、かつお互いが本当に戦闘に入ってしまうと莫大なコストがかかること、あと民族・宗教間の対立ではないことからくすぶりつつも安定した状況が続いている。

しかし今やTSMCが半導体受注生産の5割のシェアを占めている中で、昨今の自動車向け半導体が不足するといったニュースに加え、ついにスマートフォン向け半導体も不足し始めているというニュースが出ている中、世界的に先進各国からTSMCは増産の突き上げを食らっている。
ここに政治力学が加わることはほぼ目に見えていることで、特に米国政府からは中国からの国防がらみとセット技でTSMCの半導体増産指示は出ているだろう。
そしてこの半導体増産指示は必ずしも高性能なものだけの話ではなく、採算の悪いものも含まれている。
しかし国防で脅迫をちらつかせられているとしたら、TSMCは台湾政府から採算は悪くても増産しろという指示が出るはずだろうし、これをTSMCが断ることも難しい。

ということでTSMCについては今後の利益率動向についてはやや注意が必要に思える。

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中古物件の在庫水準回復までは続きそうな住宅価格上昇

K字経済」住宅価格にも 都心は上昇・近郊は低迷

色々な理由が複合的に住宅価格上昇を正当化しているようで。
上記日経新聞の記事の通り、まあ前々からツイッター不動産クラスタでは認識されていた話だが、首都圏中心に住宅価格は上昇基調で推移している。
いくつかこの理由については以下の通りと考えている。

・不動産業者への融資拡大
コロナウィルスによって各種借入金や支給金というのがふんだんに経済にばらまかれている中で、特にバランスシートを使って業を成す不動産会社にとっては物件取得のための追加資金を取得できるようになったということで、この資金が需要を押し上げる効果となったと言われている。

・金利上昇可能性の減少
今回のコロナウィルスによる不況のせいで、米国でさえゼロ金利政策を2023年まで続けるという中で、日本でいうと金利(特に短期金利)が現状みえる範囲で過剰に上がる可能性がない期間というのが大分先に延びた。
これにより、より金利の安い変動金利での借り入れが促進で住宅ローンを組む人が増加したことは確実だろう。
住宅ローン借り入れのうち6割が変動金利が選ばれていることは至極当然の話で、いざとなればいつでも繰り上げ返済可能な人であれば全額変動金利で借りて、余った現金の一部を運用に回せば実質的には不動産投資と有価証券投資のダブル取りが可能な状態となる。
ちなみに今現在35年固定金利を薦めるようなFPはすべからくFPとしては落第点なので話を聞く必要性もないだろう。

・その他住宅取得資金の出どころ
旅行が出来ない分の資金が不動産などに流れ込んでいるのもあるが、もう一つは所得の高い海外駐在員が帰国して住宅を買っているというのもあり、これがより東京での住宅成約数の増加に貢献しているように思える。

こうした需要増加の一方で、供給は従来通りのレベルしか出てこないということもあり、東京では在庫水準が減少するという減少から住宅価格上昇の気配が続いているということである。
基本的にはこの在庫水準が一定程度の回復を見えるまでは需要が供給を上回っている状態が続くため、東京では住宅価格の上昇が続くということになる可能性が高いように思える。

<東京カンテイのレポート>

https://www.kantei.ne.jp/report/market-index.pdf

タイトルなし


上記リンクの東京カンテイのレポートを見ると名古屋はやや在庫水準が多い状態が続いているので価格上昇率はゆるやかなものにとどまりそうだ。
大阪は在庫の絶対水準は多いものの、在庫水準は減少し始めているので上昇率は東京と名古屋の中間程度と考えておけばよさそうだ。

ただ一概に東京といっても築年数がかなり経ってくると新築時から強烈に値段を下げないと売ることさえ難しいところが23区外では相当程度存在することは確かであり、そこは地区別でSUUMOの築年数を古い順に並べた時の金額を見ればなんとなくわかるところだと思う。

まだ今回の上昇サイクルでは23区内物件は東京の所得であればダブルインカム家庭であれば十分に払えるものではあるものの、ダブルインカム家庭でさえ住宅取得費を支払えないというレベルにまで今回の不動産価格上昇サイクルが続く可能性は、諸外国も同様な現象が起きていることを考えると視野には入るのかもしれない。

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村越誠

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