村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年03月

石井独眼流実戦録から考える相場サイクル


石井独眼流実戦録―かぶと町攻防四十年

上記書籍は残念ながら絶版になっており、アマゾンの中古でも1万円を超える値段での出品しかないが、都心の図書館なら所蔵しているところもあるはずなので興味があるけど1万円を払うことができないという方は図書館巡りをしてもらいたい。
少なくともどんな所蔵もある国会図書館なら確実にあるので、本当に読みたいという方は国会図書館に行くべきだろう。

その中で相場の循環については論じているページがある。
文章をまるまる載せるのはだるいのでかいつまんで書くと、相場初期は定評がある優良大型銘柄から上昇を開始する。
相場中期になるとそれらと比べてやや不確実性が高いものの、将来性が高い銘柄が買われていく。
そして相場末期になっていくとなんでその銘柄が上がるのかと思われるような意味不明銘柄が上昇し、最後は相場が壊れると論じられている。

2020年3月から始まったのはナスダック大型銘柄のアウトパフォームからスタートした。
これはいわゆる優良銘柄の順当な上昇ということになる。
そこから大型優良銘柄と比べると確実性は薄いが将来期待の高い銘柄が6月頃から上昇し始めた。
これは主にARKシリーズの銘柄が該当するだろう。
そして時期がたつにつれわけのわからない株が上昇するようになった。
これはGMEやAMCなどのクソ銘柄の急上昇が挙げられるだろう。

ただ実際に難しいのは一体どの程度わけのわからない銘柄の上昇が続くかというのは予期しづらいということである。
より相場が馬鹿になっていくのには際限がないため、どの時点で手を引くべきかは毎回難しいものがある。
ただ相場サイクルが一巡すれば上昇する順番というのは上記記載の通り、まずは大型優良銘柄と相場初期から再開ということになる。

2月下旬に起こったグロース株の大幅調整は荒唐無稽なわけのわからない銘柄ほど下げ幅が大きかったことはこの石井独眼流実戦録に書かれている相場のサイクルが循環したことを意味する。
相場サイクルが一巡したということは再びまず上昇をし始めるのは荒唐無稽銘柄からではなく、大型優良株からとなる確率が高いということになる。

なのでこのブログでは繰り返し書いてある通り、当面は11-2月のような過激上昇していた相場のことは忘れて、利益成長している・売上成長している・名前が知られているという安全牌投資がしばらくは最もパフォーマンスが良い状態となるものと思われる。

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ラッセル2000のアウトパフォームのターンは終了か

ラッセル2000がアウトパフォームするターンは終了か。

火曜日は大型株はやや下げ程度で引けた中、ラッセル2000が大幅に下落する事態となった。

<ラッセル2000のチャート>
タイトルなし


この事象がなぜ発生したかについて少し考えていると、2年前に書いた記事が思い出された。

<過去参考記事>

米国中小型株が大型株と比べてパフォーマンスが劣後している背景について

上記記事は2年も前の記事だが、今考えればなるほどと思ったことがある。
ここからの推察を読む上では、まず上記リンクの過去記事を見てから記事を読んでもらいたい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2年前の記事である構造が変化していないと仮定すると、ラッセル2000はS&P500と比べると金融セクター比率が高いことを意味している。
これは米国に多く存在する中小地銀が小型株に多いことが原因となっている。
そして金融セクターは金利が上昇することによって利ザヤ拡大期待が発生するので株価が上昇する。
また金利上昇している時はグロースよりバリューの方がアウトパフォームしやすい。
基本的に世の中では新しいものより古いものの方が多いわけで、ラッセル2000はグロース株よりも成長が途切れたバリュー株が多い。

ラッセル2000が本格的に大型株をアウトパフォームし始めたのが2020年11月からであった。
そして本格的に金利上昇し始めたのがまさにこの時期からであった。
このことを考えるとラッセル2000が大型株をアウトパフォームをし始めたのは既に金利上昇を予知した人達の動きだったのかもしれないと感じた。
またその後金利上昇が続くにつれアウトパフォーム幅が大きくなっていったと考えると、2020年11月からのラッセル2000のアウトパフォームはなるほどとうなずけそうだ。

しかしこの金利上昇が終わったであろう今はラッセル2000のアウトパフォームは一時的かどうかは確定はしないものの、火曜日に金利低下とともにラッセル2000が大幅下落したことを考えると当面ラッセル2000の出番はないだろうと思われる。
次にラッセル2000がアウトパフォームする時は再び金利が上昇する時であり、逆に言えばラッセル2000が主要株価指数を大きくアウトパフォームしてきた時は荒唐無稽グロース株については警戒感を高める必要性があるんだなと思った次第だ。

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米国中古住宅販売の過熱も引き始め、米債金利に安心感

米中古住宅販売、2月は6.6%減 予想以上に減少

過度な金利上昇不安はようやく消えた。

このブログでは既にしつこく記事として書いてきたが、超長期金利上昇の原因はインフレ期待よりもあまりにも低すぎるモーゲージ金利による米国不動産市場の過熱にあると解説してきた。
そしてモーゲージ金利から考えると米債30年の当面の天井が2.5%であることも考察に入れていた。

<過去参考記事>

モーゲージ金利と不動産価格から再度米債の居所を予想


あまりにも急すぎる米国不動産価格の上昇に伴ってレンダー側もこんなクソみたいな金利で20年とか30年のモーゲージローンを貸し出す気なんて起こらなくなり、20-30年ゾーンが中心のモーゲージ市場と需給バランスを考えれば超長期金利上昇は起こるべくして起こった現象であった。

しかし逆に言えば米国不動産市場が冷めれば金利動向が落ち着いてくるということも当然であり、そのことについてこのブログでも何回も言及してきた。
うち、新規住宅着工・建設許可件数は伸びが落ち始めてきて金利上昇歯止めにリーチがかかっていた。
米国の不動産市場で最も大きいのは中古住宅市場であることから、きちんと中古住宅販売統計が鈍るのが確認できればリーチからビンゴに変わり、もはや米債金利上昇を恐れる必要性はなくなると論じていた。
(一方でバリュー系や銀行ネームに資金を傾けている人は即脱出が必要な事態)

そして22日に出てきた中古住宅販売件数は予想650万件に対して622万件と予想にも届いていないし、前月比明らかに鈍っているというのが確認できた。
2月寒波の影響もあるとは言われているが、持続不能な前年比10%価格上昇と30年モーゲージ金利が3%台に戻ってきたことによって冷や水がぶっかかったことはほぼ確実になった。

ただしじゃあ米債金利が去年のような水準にまで下がると思うのは夢物語の話であり、米債30年金利は概ね3年移動平均線付近を上下する状態が続くだろう。
つまり、もう超長期金利においては意味不明な低すぎるレベルになるということは次の経済ショックが起きない限りは発生する見込みは非常に低く、11~2月に発生した少しでも夢があれば利益どころか売上も伸びてもいないし、最悪売上ゼロでもいいみたいな銘柄が短期間で2倍・3倍になるような話は脳死相場がさらに続くと思うのは基本的に間違っているものと思われる。
だから11-2月の時と同じようなノリでのなんでもグロースっぽいものを買えばOKというわけではなく、いくつかのテーマは確実に賞味期限が切れて終わっているだろうからあらためて死んだテーマとまだ生きているテーマを見極める必要性があるだろう。

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トルコはいつものエルドアンムーヴでトリプル安

トルコ市場トリプル安、中銀総裁更迭で-債券保証コストも上昇

ほんと懲りないな。

トルコリラが急落したということで何事と思ってヘッドラインを確認すると、去年11月に就任した中銀総裁をトルコ政府が更迭したというニュースが流れてきて、あーいつものエルドアンムーヴかましているなあと思った。

<トルコリラ円のチャート>

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現在新興国はもう一旦の天井は迎えているとは思っているが、米債金利上昇でややアンワインド気味での推移となっており、ただでさえコロナウィルス不況で経済が落ち込み、先進国と比べると財政支出が乏しくて経済の落ち込みが厳しく、金融政策についてはかなり注意深く市場の反応を見ながら動かしていく必要性がある時期である。
新興国においても先行き金融政策の方向性については相当程度透明度を高めて予期しやすいようにしておかなければいけない。
特に経常収支が赤字の国は最新の注意を払って金融政策を決めなければいけない時期である。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

それなのにこの段階で全く予期しないタイミングで中銀総裁を更迭するといった暴挙に出るのは数ある新興国の中でもなかなかない動きである。
ここ7年ぐらいトルコはずっとこんな状態で、どうしてもエルドアン大統領が利下げをして経済を活性化させたいと思っており、一方で外貨バランスなどを考えて現実的に利下げが厳しいどころか一定程度利上げも行わなければならないと実行した中銀総裁の対立が激しくなり、エルドアン大統領の鶴の一声で中銀総裁交代させた挙句、通貨・債券・株価がトリプル安になるというのが繰り返されている。

トルコの最大の問題点は金利水準にあるわけではなく、国の人口構成が若年層に偏りすぎていて、一方で産業が乏しいという組み合わせによって輸出が足りず輸入が多いという万年経常赤字になりやすい体質にある。
しかし、ここ10年の中東情勢の混乱ぶりを見ると地政学的に産業誘致がしづらく、その上エルドアン大統領のきまぐれで地政学のリスクレベルも変わる上に緊急逮捕リスクなどもあり、いずれにしろ産業誘致がしづらい国となっている。

そういうもろもろの事情を考えるとまあ少なくともエルドアン政権の間はこのような茶番相場変動はこれからもまだまだ起こり得るだろうというのは簡単に想像できる話で、トルコ関連資産への投資にやる気がわくかどうかと言われると、まあ全くないですわなという結論一択になる。

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日銀ETF見直し買いで日本株指数はペナルティボックス入り

日経平均一時500円安 日銀ETF一本化、市場に懸念

これは仕方がない。

以前に当ブログでは日銀のETF買い見直しについて記事にしていたので、金曜日に日銀がETFの買い見直しについて発表したということもあり、その記事を改めて読み返していた。
興味のある方はぜひとも下記過去参考記事もあわせて当記事を読んでもらいたい。

<過去参考記事>

日銀ETF買いの見直し観測についての所感


その中で市場の噂も鑑みた個人的な日銀の修正予想範囲は以下の通りであった。

この日銀ETF買いは2018年末の下げやコロナ下げ時には外人買いを全部お買い上げするレベルの吸収力があったことからインパクトが大きかったが、この買い量レベルが決められた上限(12兆円)下限(6兆円)枠内で下方修正される可能性が今後あるということになる。

このETF買いの枠が12兆円~6兆円の枠内で下方修正されると見ていたのだが、日経平均型ETF
ETFの買いが撤廃された上に、この6兆円の枠もとっぱらいという下方修正内容になってしまった。
一応は12兆円を上限の枠とした買い入れ継続の意思は表明されたものの、重要なのは下限の方であり、下限が明示されなかった時点で買い入れが6兆円を割る可能性は非常に高いと思われる。
(実際に日銀は国債買い入れ枠の消化が全然上限未達であることを考えれば自然な発想。)
市場ではネガティブサプライズと言われているが、個人的な予想からも大きく下に外れたものであり、ネガティブサプライズ度合いは高いことは確実だ。

これによって金曜日に続いて月曜日現在の日経平均・TOPIXいずれも他アジア市場と比べて大きめの下落になってしまった。
結局日銀がいざとなったらいくら買ってくれるのよという見通しがなく、不安定になったことは単純に外国人の売りが出ざるを得ないだろう。
ここまでやや他の先進国市場をアウトパフォームしてきた大型日本株もレンジから外れて下落とまではいかないと思うが、米国株が最高値を更新してくるまではボックスでの範囲の上下にならざるを得ないと思われる。
自律的な上昇は望みにくくなり、他市場頼みみたいなふらふらした値動きに当面なるようなイメージだ。

<日経平均のボックス変動予想>
タイトルなし


まあいずれにしろ日本株への投資は一旦この日銀のETF買い枠の下方修正後の外国人売買動向統計を見てからで十分に思えて、11月以降のような上値追い買いは通用しなくなるものと思われる。
当面は日経平均3万円はお預けということになりそうだ。

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