村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2019年04月

コメディアンが大統領が許されるのは米国のみ

[社説]ウクライナ混乱に終止符を

ウクライナの大統領選挙でコメディアンが大統領になったとか。
大統領がコメディアンで許されるのは米国ぐらいで、他の国は一切そういうのは許されないと思う。

米国は基本的には一番パワーがあり、自国の大臣・官僚も考えは違えど基本的には自国のために働くことが一番得なので大統領がコメディアンでも優秀な腹心がいればさほど大きな問題にならない(というよりもさすがに直接選挙で大統領選ぶ米国民がコメディアンを大統領にするとは思えないが)。

米国以外の地域は自分の国の力を考えながらいかに他国と上手に付き合っていくかということが求められる世界であり、いわゆるエスタブリッシュ的判断や仕草が求められる。
長い政治経験の中で培った人脈を使って色々なアプローチをする必要がある。
特に欧州は周辺国が多い上に地続きなので米州やアジアでは考えられないようなめんどくさい外交駆け引きが必要になる。
それにうまくライドしていくにはそれなりの政治経験を積んでおくことは必須だろう。

そんな複雑な政治環境にある欧州で政治経験のない人間が大統領につくほど愚かなことはない。
しかもウクライナは周辺国からうじゃうじゃと他国のスパイが紛れ込む土地柄であり、腹心は自国の利益でなくスパイ先の国の利益を考える人間が大量に入っている。
そのような中、政治経験のない人間が適切な人選をできるのだろうか?
個人的には無理だと思う。ウクライナは最終的には国としての自殺を選んだという形にしか個人的には見えなかった。

ドイツ銀とコメルツ銀の合併交渉破談は必然

ドイツ銀の統合破談、新たな作戦が急務

思ったより早く結論は出してきたけど、まあ当然ですよねという結果に。

この案件は政府が積極的に介入していって、なにかしら双方に便宜をはかる必要性があった。
なのに経済音痴のメルケル氏は政府は介入しない、お互いが統合メリットを見つけてやるようにというわけのわからない発言をしたことから、ああこれは破断するだろうなとブログでは以前から指摘していた。

<過去参考記事>

ドイツ銀行とコメルツ銀行の統合に関するメルケル首相のコメントにセンスがない


そもそもこの合併は実質ドイツ銀の救済措置的な側面が大きいことから、
①コメルツ銀の雇用維持の保証
②ドイツ銀の大幅リストラ断行を後押しする政治介入
③統合後に収益を向上させるためのなにかしらの政府からの便宜 

これらがないとコメルツ銀にとっては単に厄介者をおしつけられた挙句、コメルツ銀の労働者はクビを切られるリスクをとる必要性が生じてしまう。
そんな馬鹿な統合話は政治的便宜がなければはなから話が進まないことは見えていた。今回の統合破談はドイツ政府のミスであり、やはり今のドイツ政府には経済音痴であることが証明された案件となった。

新興国債券への投資は現地通貨が良いのかドル建てが良いのか

新興国の国債に投資する際には、実は現地通貨建てとドル建ての二つがある。
現地通貨建てはいわゆるその新興国が発行している通貨での国債であり、ドル建ては米ドルで発行されたその新興国の国債となっている。
どちらの方がパフォーマンスがいいのだろうかという話があったので、少し比較してみようと思う。

2003-2008年はドル建て国債よりも現地通貨建て国債の方がパフォーマンスが良かった。
現地通貨建ての方が累計で32%ほどドル建て国債をアウトパフォームしていた。
この時代は米国が住宅バブルを背景に大量に貿易でモノを輸入していたこと、および中国が経済的に長い苦境から立ち上がったことから米国の大量の経常赤字が新興国の経常黒字を生むという構造になっていた。
この当時は米国は経常赤字が対GDP比6%というとんでもない量の赤字を垂れ流しており、当時は双子の赤字が定期的にピックアップされる時代だった。
一方裏で新興国は多額の経常黒字を稼いでおり、現在経常赤字を垂れ流しているインドネシアやブラジルは経常黒字であった。

しかし2009年以降は状況が一変し、まず2009-2011年まではドル建て国債と現地通貨建て国債のパフォーマンスはほぼ変わらなくなった。
そして2012年以降急速に現地通貨建て国債のパフォーマンスが劣化し、最終的にはドル建て国債が現地通貨建て国債のパフォーマンスを20%上回る結果になった。
2009年以降は中国の景気も以前ほどの過熱はせず、米国もモノの輸入増加速度は相当緩んでいる状態が続いている。
しかも米国はシェールガス革命により原油輸入を大幅に減らしてしまったことから世界に出回るドルの量が減少している。現在米国の経常赤字は対GDP比でたったの2.3%だ。
しかも新興国各国は数年前の空前の好景気を忘れられず、バカスカ無節操な支出を続けたことから多額の経常赤字を垂れ流す国が大幅に増えた。
昔経常黒字国だった国も次々と経常赤字国に転落していった。ドルは基軸通貨なので多少経常赤字が多かろうが多少減価させればなんの問題もないが、新興国で多額の経常赤字国は少しでも証券投資や直接投資が鈍ると現地通貨の価値を維持するのが非常に難しい。
結局2009年以降の米国の大幅な経常赤字圧縮により、新興国通貨の価値は毀損されていき、最終的にはドル建て国債(いわゆるハードカレンシー国債)の方が有利だという結果になった。

もちろん経常黒字をしっかり稼いでいた一部新興国は状況が違うが、確率論でいえばハズレ新興国通貨を触っていた可能性が高いだろう。
さて、今後ドル建て国債と現地通貨建て国債どちらの方がパフォーマンスが良いのか。これは現状ではやはりドル建てに軍配があると思う。
米国の経常赤字はまだ2.3%しかなく、この程度の数値では新興国通貨全体に資金が還流するには足りないといわざるを得ない。

もちろん米国の経常赤字がここから一気に増大するとあれば話は別だが、今はまだそれを考えるに至るレベルにはないと思う。
また、一部経常黒字新興国は話は別だろうが、新興国全体でみれば不芳であることは間違いないと思う。 

キャタピラー決算から見るグローバル景況感

<キャタピラーの決算情報>

Caterpillar | Investors



世界の景況感を判断する際にはかかせないキャタピラーの決算について少しレビュー。
米国は各州のインフラ開発で需要は堅調で、弱い住宅向けを補っている。
欧州、アフリカ、中東は様々な政治的不確実性がある中でもしっかしとした需要が継続している。
アジア太平洋はインフラ開発の需要が引き続き強いが、中国の売上高はほぼフラットとみている。
コモディティ価格は十分需要者が設備投資を増やす水準にあり、資源向け機械も堅調に推移するとみている。 

全体的に決算コメントを見て、キャタピラーの決算で唯一懸念があるとすればやはり米国住宅の動向が弱いといったところだろうか。
その他については特に弱気な発言は見られておらず、中国も今のところは1Q同志の比較はほぼフラットという話で、かつキャタピラー側からも特に需要は弱いとは言っていない。
日経新聞では随分書き方的に中国への懸念が高いという書き方がされているが、キャタピラー側の決算をきちんと聞くと、中国の建設機械需要全体は今年は増加すると見ているが、地場系企業の値引き乱売してシェアを拡大する戦略は取らないと言っているだけであり、日経新聞の中国懸念に対する書きぶりは少し過剰ではないかと思う。

米株高、キャタピラーが影落とす(NY特急便)

欧州はドイツの景況感がーとかいう話があるが、見かけほどは弱くはないんじゃないかなというのが第一印象だ。やはり足元で景気の一番ネックになっている部分は米国住宅にありそうな雰囲気だ。 

5月の利下げが確実視され始めるオーストラリア

豪ドル、2週間ぶり安値 物価低迷で利下げ観測強まる

この前の豪州のCPIが1.3%と市場予想の1.5%を下回ったことから、各セルサイドアナリストの政策金利予想が大幅に下がってきている。
セルサイドの中にはRBAが目標とする2%の物価上昇率の目標に対しては大幅な変更が必要であると喝破している人もおり、まず5月の利下げはほぼ確実、8月もそこそこの確率でもう一回利下げに動く可能性ありとまで言い始めている。

そうなると2016年から継続していた1.5%の政策金利が1.25%に下がり、1%に下がりということになる。
豪ドル投資している人にとってつらいのはこのままだとスワップが5月そして8月に2/3に落ちてしまうということもあるが、5月の決定会合の声明文で8月の利下げにも期待させるような文言が入ったら豪ドルはそれ相当に下落することを考慮する必要があるかもしれないということだ。
豪ドル投資している人は次回決定会合の5月7日までに自分はどう動くべきなのかぜひとも考えておいてもらいたいところだ。

また、中国の景気回復についても日本電産の決算説明会で永守氏が「市場が騒ぎ立てるほどは回復していない」という発言をしており、これも豪ドル安に影響するかもしれないと考えておくべきだろう。

なお、個人的な豪ドルの見方は下記からまだあまり変わってない。
<過去記事参考>

豪ドルは買うより売る方が吉な気がする

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プロフィール

村越誠

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