村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

年金ファンドが上場ゴール株を増やす


FTでは1996年には年間上場数が700件あったのが2017年はたった100件しかなかったことを指摘しており、昨今年金ファンドによる未公開株の囲い込みがひどいことを記事にしている。
年金ファンドは昨今の金余りのせいか非常に大きな勢力になっており、特に今までは透明性確保のために債券や上場株といったものがポートフォリオの中心だったが、それでは目標リターンを出せなくなってきたことから未公開株投資、いわゆるプライベートエクイティファンド的な投資を拡大させるようになってきた。
これは自分達でそういった投資の仕方をするのと、PEファンドに委託する二つの方法が混在している。
個人的にはこの行為が上場直後が株価最高値になってしまう、いわゆる上場ゴール株を増加させる原因になっていると考える。

それはなぜなのか?
少なくとも20年とかいう超ロングタームで資金ファイナンスができる年金ファンドは自分の資金繰りが苦しいとかいう理由で未公開株を売るという行為はしない。
年金ファンドが未公開株を売却する時というのは「目標となるリターンを確保できた時」あるいは「この会社のバリュエーションはもう最高値にある」という状況だろう。
昨今の目標リターンを出すのに苦労している状況を考えれば年金ファンドが未公開株を上場させて資金回収する時というのはもうこの会社のバリュエーションは伸びないと大口投資家側が想定していることが主な理由になるだろう。
年金ファンドではないがソフトバンクのビジョンファンドはまさにこの典型例で、バリュエーションが伸びる間は決して株を売らないが、もうバリュエーションが伸びないと思えばしれっと上場させてバリュエーション的には超絶割高株を投資家に押し付けるという本来の上場意義である「幅広く投資家を募ることによって事業を拡大させる資金を得る」とは全く違う使い方をしてしまっている。
だからウーバーもリフトもスラックも全部上場後すぐに公開直後価格から2割も3割も下がるといったクソみたいなパフォーマンスを叩きだすことになっている。
しかしこのことがもう市場に周知されていることによって少なくともビジョンファンドが上場させる案件についてはかなり警戒感が強く、そのためウィーワークはIPOさせてイグジットすることに失敗した。

話は戻すが、事業会社は事業会社で公開して色んな人にいちゃもんつけられるよりは未公開株のまま少数の投資家と対話したほうが楽だし手間もかからないと考える人が多く、こうした背景もPEファンド主体に未公開株が囲われている原因になっている。

というわけで従前よりもやはりIPOの質は明らかに悪くなっており、上場した直後に株を購入することは養分以外のなにものでもなく、公募で株が当たらない限りはセカンダリーで株を買うのは上場して何回か決算を確認してからで十分だと思われる。
少なくとも上場した直後に決算すべらせるような企業については経営者が交代するまでは決して触るべきではないと思う。

ようやく支持者が減少していることに気づいた香港の過激デモ集団

Hong Kong Protesters Are Debating a Halt to Vandalism

ここからは本格的に尻すぼみしていく予感。

ブルームバーグニュースでどこまで真実かはわからないが、香港デモ参加者の間で昨今の過激な暴力行為は行き過ぎであって、今週末は今まで見えてきていた暴力行為はやめようという話が出ているようだ。
香港のオンラインコミュニケーション掲示板のLIHKG.comではそうした行き過ぎた暴力行為とみなされる過激デモは自粛しようという話が議論されているようだ。

以前にも記事にしたように昨今の香港のデモ参加者の抗議は政治的意図よりも単なる過激暴力行為が目立ってしまっている。
しかもなまじかなり一人当たりGDPが高いことからこうしたデモによるビジネス停滞・観光客減少が直接的に大多数の生活者に影響が出てしまっていることから徐々に一般人からの支持が取り付けられなくなってしまっている。
一般人からの支持が取り付けられないのに民主主義うんぬんの主張に関して支持が取り付けられないということに徐々に気が付き始めている。

たしかに香港の長官キャリーラムの支持率は低いし、香港政府のやることなすこと全て裏目に出ているという香港政府の対応の稚拙さというのも要因にはある。
しかし、現在のようなデモに対して組織としてコントロールができるリーダー的な役割を持つ人間がおらず、また既に英国から中国に返還されている中独自軍事力を持たない中民主主義化を求めるというのもゴールとしては荒唐無稽という以外にしかなく、現在の過激デモは単に香港市民の生活水準を下げているだけの自滅行為としか見受けられない。

また今回米中が通商交渉で部分的合意に向けて動きだしたが、ここにきて今まで香港人権・民主主義法案を可決してくるなど口先だけは達者であった米国政府側はこの部分合意の段階において特に香港については盛り込んでいる雰囲気がない。
ということは民主党はどうか知らないけど、少なくともトランプ大統領は香港の情勢について関心がないか、香港の問題をむやみにつついて中国を刺激してしまうことにおよび腰なのではないかとさえ考えられる。

こうしたことを考えると、やはり香港の過激暴力デモは逮捕者の増加とともに賛同者が減少していくわけで、徐々に鎮静化していくというのがぼちぼち見えてくると個人的には考えている。

と記事を書いているところで香港政府から住宅援助について支援策的なものも出すと発表が出始めており、デモの一番の原因はこの住宅問題にあるわけなので、この政策が出たことからもより実生活に関する不満しかもっていなかったデモ勢は減少していく可能性が高いものと考えられる。

香港住宅供給で不満解消狙う 行政長官演説 

ウィーワークの舐めた資金調達態度を見る限り、潰れる確率は低い

ソフトバンクG、WeWorkに50億ドルの緊急支援を計画
WeWorkの資金調達でバンカーと投資家奔走、来月にも資金枯渇か

自分達の保身を考えて調達先を複数模索している時点で、かなり余裕がある。

ウィーワークが11月には手元資金が枯渇するだのなんだので、資金繰り懸念が噂されているが、今ウィーワークが模索している資金調達状況を見るとすごく余裕があるように見える。

現在ウィーワークは二つの資金調達方法が見えており、一つはソフトバンクによるおかわり5000億円資本注入。
この手法は最も安易かつソフトバンク側も出す気でいるため、この手法を取るのはすごくイージーなのだが、噂によるとこれをやるとウィーワーク経営陣が保有する株に対して大幅な希薄化が生じるスキーム(あるいはDIPファイナンス?詳細は不明)になっているとかいう噂もあり、ソフトバンクからの出資の受け入れはウィーワーク経営陣の資産価値を限りなくゼロに叩き落す結果になる可能性が高いんだそうな。

一方で現在JPモルガンと模索している資金調達案はエクイティでの調達ではなく、新しく社債を発行してファイナンスしましょうという案だ。
ただし、ご存知の通りウィーワークの手元現金自体は非常に薄い上に営業CFがマイナスであるため、普通の調達は難しく、PIK債という債券の利払いを債券で行うという資金繰りギリギリの会社や債務再編案でよく出てくる手法を取ろうという案も出ている。
ただし、このJPモルガンの案は経営陣の株希薄化は起こらないが、PIK債の利回りが実質15%になるという話もあり、こちらは資金繰りは瞬間風速的には改善するが、債券の償還前に財務状況の整理が間に合うかどうかわからないのと、まだ最終需要がどれだけ集まるかが交渉中のため不明。

個人的にはこのニュースを見て、ウィーワーク側は最悪ソフトバンクがケツ持ちしてくれることは確信しているっぽいが、一方で自分の持ち株の価値が大幅に下落するのは嫌だという駄々をこねてソフトバンクからの資本注入以外の資金調達方法はないかと模索しているなと感じる。
つまりウィーワークはぎりぎりの資金調達を模索しているわけではなく、それなりに余裕を持った資金繰り模索状況だなと思う。

本当に切羽詰まっている会社はJDIのように、資金調達させてもらえる先が限られてしまい、選択肢がほとんどないという状況が常だ。
でもウィーワークについては、どうやらソフトバンクの孫氏がお熱のようで、すごい肩の入れ様をしていることから、いきなり資金調達ラインが切られるという危機感はないと思われる。
それにソフトバンク側もウィーワークを死なせてしまい、ビジョンファンドにダメージを与えてしまうのは本望ではないし、デフォルトさせてはいけない事情もある(そこらへんは過去記事参考)
というわけでウィーワークについては最終的にはどこかしらから資金を引っ張ってきて、存続する可能性は非常に高く、特にウィーワークのせいでマーケットが崩れるとかそういうことは今は考える必要性はないものと思う。 

TSMCの決算から半導体市場回復が見え始める

半導体市況 回復基調に TSMC、5四半期ぶり増益

設備投資にコミットするということはかなり自信があるのではなかろうか。

半導体関連業界に投資している人にとっては非常に重要な意味を持つ台湾のファウンドリー大手TSMCの決算発表内容を見ると、半導体業界について回復が始まっているのかなと思われる内容はコメントがちらほらと見え始めている。

<決算内容についてはこちらから>
https://www.tsmc.com/japanese/investorRelations/quarterly_results.htm

まず直近決算が好調であり、これはiPhoneの売り上げが予想より好調であったということだ。
またスマートフォン向け半導体出荷でいうとファーウェイもアップルに次ぐ発注者であるが、こちらもいくつかのニュースでは好調に推移したということで、売り上げの半分を占めているスマートフォン向け半導体が底堅い動きをしたということだ。

<TSMCの売上高ブレイクダウン>
タイトルなし


そしてここが一番投資家にとって注目すべきポイントとなっており、今年の設備投資金額を従来の100億USDから140-150億USDに増やすというガイダンスをぶちあげてきた。
決算会見ではスマートフォン向け半導体だけでなく、5G向け・自動車向け半導体に関しても自信を持っていると言っており、中長期的に地震を持っている証拠だと市場参加者は楽観視に傾きつつある。
一応はこのTSMCの決算をきっかけに過度な半導体業界の落ち込みといったのは払しょくされそうな予感がする。

ただし注意したいのは、半導体関連の銘柄の動きを見ると、このニュース自体はすでに気づいている人もいる・あるいはそういった産業に関わっていてちらほらポジティブな話を聞いていて知っているという人もいたんだろうなと思うような動きをしている銘柄が多い。
東京エレクトロン、ASML、アプライドマテリアル、アドバンテストなどいくつか挙げられる。
(各銘柄の株価動向は各自で確認してほしい)

なのでじゃあこのTSMCの設備投資金額積み増しというニュースでそれ買いだと安易に向かっていくというのは間違っており、改めて各企業の株価フェアバリューをにらみながら取り組んでほしいところだが、そうはいっても世間一般で心配されているよりは半導体業界の景気は底堅いんじゃないですかねというのを表していると思われる。

一部ではいやいや、この半導体需要の強さは仮需であり一時的なものという見方もあるようだが、個人的にはそうだとすればここまで設備投資を増額することはないのではないかと思うので一応自分は経済に対して強気派ということで。
(ここらへんは各自判断してもらいたい) 

米国ミネソタ州の雇用状況が良くないのは税制が原因

Minnesota, Long a Bright Economic Star, Wonders What's Next



多分ウォールストリートジャーナル側は知っているくせにわざと言及していない感じがする。

WSJがトランプ政権は好景気とかいっているはずなのにミネソタ州では失業率が上昇していて、雇用環境もよくないと大々的に煽っている。

しかし、個人的にはミネソタ州の雇用環境が良くないのはほぼ自明だと思われる。
なぜならミネソタ州の州税制は非常に企業にとってアンフレンドリーであり、ビジネス税制指数は下から4番目と非常に低い。
下位に存在するニューヨーク州はウォールストリートという金融中心街を持っており、カリフォルニア州はシリコンバレーというIT企業が集中する街を持つが、そういった強みをミネソタ州は持っておらず、企業から見れば単に税率の高い地域としか見られていないおそれがある。

特にトランプ政権の税制改革によって、より州税の負担差というのが顕著に出てしまっており、シリコンバレーからでさえ州税率の安いテキサス州などに拠点を分散する動きが出始めている。
そのことを考えればビジネス税制指数が下から4番目のミネソタ州にわざわざ拠点を構えようなどという企業は地元で商売する企業以外はなかなか考えにくいのではないか?

企業に対する米国の州税制 - 大和総研



<ドベに近い税制状況のミネソタ州>
タイトルなし


というより下手するとミネソタから州税安い地域へ引っ越す企業だってそれなりに出てしまっているのではなかろうか?

このWSJの記事で足りないのは、実際この州税を理由として移転した企業がどれぐらいいるのかということと、州税が安い地域の州の雇用状況はどうなのかという分析である。
これがきちんと記載され、それでもなおかつ移転している企業が少ない・州税が安い州の雇用状況も悪いという分析が加わっていれば記事としては非常に完成度が高いものになっていたと思う。
上記記事では結局単に失業率が上がっていて仕事が見つけにくいとしか書いておらず、本当の原因はどこにあるのかわからない。
多分無知な方が読めばこれは景気が減速していることを表しているという短絡な結論になるだろうが、個人的には上記に挙げたような要因がないかどうかの検証がなされていなければ結論を出すことのできない駄文記事だと思っている。

まあWSJ側も馬鹿ばっかりではないのでそういう要因もあることを知っている人はいくらでもいるんだろうけど、そういう小難しいこと書くとPVが下がるのでセンセーショナルに煽る駄文書いてあとは投げっぱなしみたいな記事を書いて終わりというなんとも軟派な記事にになってしまったのは非常に残念だと思う。 
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村越誠

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